大内裕和(中京大学教授)

 NHKニュースの貧困高校生報道に対して、大きな反響がありました。シングルマザーの家庭で母親の仕事がアルバイトであり、パソコンが買えず、希望する専門学校への進学を費用負担の大きさのためにあきらめたこと、などが報道されました。

 これに対して、放送に自宅にあるアニメグッズなどの趣味の品々が映ったり、放送後に特定されたツイッターによって、高校生自身が昼食1000円のランチを食べたり、好きな映画を観ていたりしていたことが判明し、「あれでは貧困とは呼べない。貧困のふりをしているだけだ」「好きな昼食や映画を楽しんでいるから、支援の必要はない」などのバッシングが、ネットやツイッターなどのSNSにあふれました。
 ここには第一に、相対的貧困への無理解があらわれています。報道に対して「貧困ではない」というバッシングは、貧困とは収入が全くなかったり、食べるものや住むところがなかったりなどの窮乏状態を意味するという認識に基づいています。こうした窮乏状態のことを絶対的貧困と呼びます。

 この絶対的貧困を認識し、解決していくことは大切な課題ですが、これだけでは先進諸国の貧困を問い直すことはできません。この絶対的貧困に対して、その社会での標準的な生活ができない状態のことを相対的貧困と呼びます。日本を含む先進諸国は、この相対的貧困を貧困の指標としています。日本の「相対的貧困率」は、16.1%と公表されています(2012年厚労省「国民生活基礎調査」)。日本社会では現在、約6人に1人が貧困状態にあります。シングルペアレント(母子・父子家庭)の貧困率は54.6%と、非常に高い比率になっています。