広島カープが25年ぶりの優勝を決めた。

 本当は昨季、優勝するはずだった。不思議なものだ。エース前田健太がMLBドジャースに行き、大きな柱を失った今年のカープの優勝を予想した人は少なかった。ところが、去年できなかった優勝を今年は堂々の独走態勢で果たした。その要因は何だろう?

ベンチを飛び出す広島ナイン(左端は広島・野村祐輔)=9月10日、東京ドーム
ベンチを飛び出す広島ナイン(左端は広島・野村祐輔)=9月10日、東京ドーム
 プロ野球で優勝するための最大の要素は「戦力の充実だ」と見ている人が圧倒的に多い。開幕前の優勝予想も、投打の戦力分析を中心に行われる。が、評論家たちの予想は外れるものと相場が決まっている。なぜか? それは、意外なことに、戦力は必ずしも優勝を手繰り寄せる最大のポイントではないからだ。

 毎年の優勝チームを分析すると、案外素朴な共通項が浮かび上がってくる。

 今年、セ・リーグで一番優勝したがっていたチームはどこだろう? 優勝に飢え、そしてチームの気持ちがひとつにまとまっていたチームは?





 昨季の悔しさは理屈抜きにカープ・ナインに充満し、力を漲らせていただろう。マエケン最後のシーズンと誰もが覚悟していた。

広島・黒田が200勝を達成。新井貴浩から記念プレートを受け取る
黒田博樹=7月23日、マツダスタジアム
広島・黒田が200勝を達成。新井貴浩から記念プレートを受け取る
黒田博樹=7月23日、マツダスタジアム
 黒田博樹が男気でカープに戻ってきた。新井貴浩も復帰した。日本一のセカンド・菊池涼介もいる。優勝のお膳立ては整っているはずだった。ところが、期待の外国人選手の怪我などもあり、開幕早々に失速した。4月、5月はまさかの最下位に沈み、いきなり優勝は遠いところに逃げ去った。夏前から挽回したものの、クライマックス・シリーズ出場さえ叶わなかった。そして、前田健太はアメリカに渡った。

 悔しさと喪失感。選手も首脳陣も、そしてファンもその気持ちをかみしめ、迎えた今季だった。引退も案じられた黒田投手が「もう一年」を決意した。マエケンの不在は、むしろ若手投手たちの奮起を促した。

 こうして書くと、精神論のように誤解されそうだが、高校野球の優勝条件のように思われがちな「チームの気持ちがひとつになる」という要素は、実はプロ野球でこそ重要だ。複数のプロ野球選手がそれを語ってくれた。

 「プロ野球の方がむしろチームワークが重要ですよ。なぜなら、一年中ずっと、一緒に旅をするわけですから。この仲間とビールかけをしたい、そういう気持ちが強い年に優勝できた」
 今季のカープにはそれがあった。

 もちろん、結果的には戦力の充実もあった。これを、「カープにあって、ジャイアンツになかったもの」という観点から見ると、優勝を勝ち取れた要因もまた浮かび上がってくる。