影山貴彦(同志社女子大学情報メディア学科教授)

 SMAPが結成してまもないころ、私は毎日放送でラジオ番組『MBSヤングタウン』のディレクターをしていましたが、フジテレビ系テレビ番組『夢がMORIMORI』の名物コーナー、「スーパーキックベース」に横山ノックさんにリーダーをお願いしてヤングタウンチームで出場したことがあるんです。大会には草なぎ(剛)君と森(且行)君が出演していたと思いますが、現場にやってきたふたり、特に草なぎ君の姿は既に華があるように私の目には映りました。『夢がMORIMORI』はSMAPがブレイクするきっかけとなった番組ですが、それ以前から関西ローカルでレギュラー番組を持たせて、『夢がMORIMORI』、そして『SMAP×SMAP』へと流れを作ったのはやはり元女性チーフマネージャーの力が大きい。アイドルというのはもちろん自分たちの力で大きくなっていくものですが、マネジメントとファンの支え、このトライアングルが上手く出来上がることで、アイドルからスーパースターになっていくのではないかと思います。ただ、スーパースターへの育て方というセオリーが分かれば、マネジメント側は苦労しません。だからSMAPであっても、さすがのジャニー喜多川社長の目をもってしても初めからスーパースターへの階段を見通すことはできなかったのかもしれません。

 私はテレビ・ラジオの作り手として約15年間、1000人以上のタレントたちと仕事をしてきましたが、演者というのは一般社会で過ごしている人たちには考えられないような価値観を持っている方が時にいます。対して作り手といってもサラリーマンがほとんどです。いわば普通のサラリーマンと普通の価値観を超越した人たちと一緒に番組を作っていくことになるので、作り手が演者についていけないことが出て来ます。ですが、番組として出来上がったものを作り手がチェックすると、彼らは飛びっきりのパフォーマンスを見せてくれることも多いので、作り手はそれで納得できるわけです。だからこそスーパースターの素養を秘めたアイドルや役者、歌手たちに対して、マネジメント側や作り手がしっかり育てなければいけないし、支える義務があるはずです。マネジメント側や作り手は演者のことを影であれこれ言うのを絶対してはいけない。エンターテインメントの世界は受け手に夢を見せなければいけませんから、自分が携わっている仕事を自覚しなくてはなりません。

 それだけに今回のSMAPの騒動や、アイドルに熱狂するファンに対して、一部の識者やコメンテーターが若干距離を置いたり、斜に構えたような物言いをしていたことは残念でなりません。「メディアエンターテインメント論」を研究する私から見れば、「エンターテインメント」という存在は人間にとって欠かせないことは明らかだからです。人が年を重ねて人生を振り返っていけば、政治や経済よりも先にエンターテインメントに関することを思い出すでしょう? ファンがSMAPに対して声援を送ることは非常に尊いことですから、それを軽んじたコメントをする人たちには本気になって反論していきたいと思っています。