室伏謙一(政策コンサルタント)

 民進党代表選、9月2日の告示を受けて、本格的な選挙戦が始まった。もっとも始まったと言っても、野党の代表選、自業自得というべきか国民の関心はそれほど高くないようだ。今回の代表選、推薦人20名を集めて立候補できたのは、告示前から立候補表明をしていた蓮舫参議院議員、前原誠司衆議院議員に加え、玉木雄一郎衆議院議員の3名。いずれも党の刷新を掲げている。

 もっとも、党の刷新といってもその対象は旧民主党。前原氏は旧民主の負のイメージがあるとし、国民にお詫びしますと繰り返しているが、それは旧民主の話であって旧維新とは無関係であるのだから、新しくなった民進党で旧民主の迷走についてお詫びとは、お門違いも甚だしい。その身勝手さと勘違いが旧民主の信頼失墜の一因でもあろうところ、屋上屋を重ねるというか、地下室の下に更に地下室を作るがごとき言動には呆れ返る。

 玉木氏も過去の民主党との戦いを訴えているが、過去の民主党とは旧維新も各議員が旧党時代(みんなの党→結いの党、日本維新の会)に過去の民主党と戦ってきているので、なるほど上手いことを言うものだ。

 それよりウワテなのが蓮舫氏で、埋没への危機感、民主・維新が合流したといっても規模が小さいことへの懸念を示し、そして野党第一党に甘んじていていいのかと投げかける。旧民主ではなく新しい民進党として変革していこうという雰囲気を醸し出すようなところは蓮舫氏の真骨頂、さすがといったところか。
蓮舫氏=9月5日午後、東京・永田町の民進党本部(斎藤良雄撮影)
蓮舫氏=9月5日午後、東京・永田町の民進党本部(斎藤良雄撮影)
 そうした姿勢や政策をメルクマールにして、党内各グループは候補者への支持を表明している。23人という党内最大の議員の旧維新グループ、その動向が注目されたが、江田憲司衆議院議員と松野頼久衆議院議員を除く21名を3分割して3候補の支持に回った。党内融和を優先しての判断ということらしいが、代表選挙は必ずしも党内分裂の火種になるわけではないし、こういう時こそ旧維新が埋没しないことを考え、江田氏でも松野氏でもどちらでもいいが旗を立てるというのが常套手段であろうし、そもそも誰を支持するかは政策が云々と曰っていたはず。

 なんともお粗末な行動。これで旧維新グループは終わったと思われても仕方あるまい。(旧維新系の地方議員達は、これまで散々国会議員の迷走、付和雷同、やりたい放題に振り回されてきた。そして今回またしても振り回された旧維新系の地方議員の落胆、憤慨は幾ばくか。)

 さて、これら3候補の主張、憲法改正や安全保障に着目して見ていくと、ある傾向が見えてくる。

 まず前原氏、憲法改正はしっかりやるべきとし、制約なき集団的自衛権の行使をさせないために第9条に第3項を加えるとしている。これは集団的自衛権の容認を前提とした発言であり、党として反対してきた集団的自衛権の行使を事実上認めると言っているのと同じである。第3項を加えるというが、何を加えようというのか。第1項及び第2項を有名無実化するための内容にでもしようというのか。その内容いかんによっては、自民党草案をも飛び越える可能性さえあるのではないか?