高橋亮平(中央大学特任准教授、NPO法人Rights代表理事)

「二重国籍問題」の影響は極めて限定的


 民進党の代表選挙が盛り上がらない。唯一盛り上げているのが本質ではない蓮舫議員の「二重国籍問題」くらい… そんな中、昨日この問題に大きな進展があった。蓮舫氏が台湾籍が残っていたことを明らかにし、「混乱を招いたことをおわびしたい」と陳謝したのだ。

 「違法性はない」と重ねて強調し、民進党代表選についても撤退しない意向を示した。同日のテレビの番組では「籍を抜く作業が終わったら、この問題は終わる」と述べているが、ここまでくるとそんなに甘い話ではなくなる。

 ただ、このまま戦った際の民進党代表選への影響はそれほど大きくはない。マスコミ報道でも「蓮舫優勢」との声が大きいように、数字上でも過半数をうかがう勢いだ。蓮舫氏が優位とされる党員・サポーター、地方議員の郵送投票は昨日13日に締め切られた。

 偶然にもそのタイミングでの「台湾籍保有」の公表となった。こうした状況の中では民進党代表選挙はこのまま圧勝でもって蓮舫氏が代表に当選する可能性が極めて高い。

当初の蓮舫代表による「反転攻勢構想」とは


これまでも、『蓮舫代表になっても無投票で「社会党末期の道」ならむしろ「小池新党」に期待が集まる』、『蓮舫・前原・玉木3候補が出揃った。民進党は2020の政権政党創造を目指せ!』などと、この民進党代表選挙について書いてきたが、蓮舫氏が代表になることへの期待は、間違いなく「選挙への強さ」であった。

 その「反転攻勢」の第1手は、10月11日告示となる衆議院補欠選挙だった。小池知事の転身による東京10区と、鳩山邦夫元総務大臣の死去に伴う福岡6区だが、次期参院選は2019年、衆院の任期も2018年という中で、自民党を2敗に追い込める可能性のある野党にとっては絶好のチャンスだった。
民進党代表選挙候補者による共同記者会見で、前原誠司元外相(右)の答弁を聞く蓮舫代表代行(中央)。左は玉木雄一郎国対副委員長=9月2日、民進党本部(斎藤良雄撮影)
民進党代表選挙候補者による共同記者会見で、前原誠司元外相(右)の答弁を聞く蓮舫代表代行(中央)。左は玉木雄一郎国対副委員長=9月2日、民進党本部(斎藤良雄撮影)
 自民党にとっては、東京10区では小池新党が噂される中で、知事選で造反した若狭勝衆議院議員の対応という微妙な問題を抱え、福岡6区では既に自民党県連が公認申請している候補と鳩山邦夫氏の次男である鳩山二郎前大川市長の分裂選挙が確定的であり、非常にやりづらい選挙になっているからだ。10月までに小池新党が結成されて若狭氏が離党して出馬となれば政局は荒れるが、それでも蓮舫氏が衆院10区に鞍替え出馬すれば圧勝の可能性があった。

 たかが補選ではあるが、政局にとっては選挙の影響は大きく、こうした「反転攻勢」は、民進党に大きく風を吹かせ、この勢いのまま成果の出ない経済政策に対して対案を示し、解散に追い込み総選挙ということにでもなれば、政局は一変する可能性もあった。

 しかし蓮舫氏は9月4日時点で既にこの補欠選挙での東京10区への鞍替えは否定している。ではどういった「反転攻勢」を考えているのだろうか。

 一方で衆院への鞍替えについては前向きの発言が続く。噂されるのは自宅のある東京5区(目黒区など)や隣の6区(世田谷区)、海江田さんの東京1区(千代田、港、新宿区)菅さんの東京18区(武蔵野市など)なども噂されている。こうした選挙区で古い民進党との決別を発信しながら「反転攻勢」という戦略なのかもしれないが、それほどうまくいくだろうか。今回の「二重国籍問題」を受け、仮に12月にもとも噂される解散総選挙が実施されたとしても、当初のイメージ通りに事が進まなくなってきている印象を受ける。

 蓮舫氏を代表にという追い風になったのは間違いなく「選挙に強い」というそのイメージだ。仮にその選挙で結果が出せないということになってくると、その状況は一変する可能性がある。