山田順(ジャーナリスト)

 はっきり言って、蓮舫氏は現状ではアウトだ。今回の民進党代表選挙からは降りるべきだった。これは二重国籍でも手続きをすれば法的問題をクリアできるからという以前に、このことに対する認識が甘すぎたからだ。

 それに、「日本人」であることには変わりないのだから、今後、チャンスはまだいくらでもあっただろう。

 民主党は代表選挙をやり直すべきである。
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる蓮舫新代表=9月15日、東京都港区(納冨康撮影)
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる
蓮舫新代表=9月15日、東京都港区(納冨康撮影)
 蓮舫氏は9月13日に開いた記者会見で、初めて台湾との二重国籍が継続中だったことを明らかにし、この問題で混乱を招いたことを謝罪した。これは、前日に台湾側から回答があったためと言うが、ではもし回答が遅れていたらどうしたのであろうか? 曖昧な状態のままで、代表戦を終えたのだろうか? 

 蓮舫氏は、9月6日の時点で、台湾側に国籍離脱の確認をするとともに、国籍を放棄する書類を提出したことを明らかにした。ただ、その手続きがいつ完了するのかには触れなかった。とすると、その間、彼女は国会議員として二重国籍者のままでいることになるが、この点はどうするのだろうか?

 それにしてもなぜ、蓮舫氏は、この問題を評論家の八幡和郎氏に指摘されたとき、ご自身の記憶だけで答えたのだろう。  

 蓮舫氏は「17歳だった1985年に大使館にあたる亜東関係協会(現・駐日経済文化代表処)に父親とともに出向いて台湾国籍を放棄する手続きを取った」という主旨のことを述べた。そして、「私は日本人です」と強調した。このことからして、そもそもおかしい。なぜなら、この時点では誰も彼女が日本人であるかどうかなど問題にしていなかったからだ。すでに日本国籍を収得しているのだから、日本人であることは明白だ。

 蓮舫氏が問われていたのは、どの時点で台湾の国籍を放棄したのかということだけだった。

 したがって彼女がすべきことは、勘違いもあるとして、二度手間になろうともこの時点で台湾側に国籍離脱の申請をすることだった。

 なにしろ、蓮舫氏は「台湾語がわからなかったので―」とも言っている。それなら、なおさら早急にそうすべきだったと思う。それがなぜ、ここまで遅れたのか?

 つまり、これは二重国籍問題というより、この問題の背後にある人間としてのアイデンティティの問題であり、政治家としての認識が甘いという問題だ。

 ここからは一般論だが、二重国籍者というのは、このグローバル時代、世界中にいくらでもいる。日本でも、どんどん増加している。しかも、世界の多くの国、たとえばアメリカ、イギリス、フランスからロシアやブラジルなどの国まで「多重国籍」を認めている。だから、多くの二重国籍者が国籍をそのままの状態にしている。なぜなら、そのほうがメリットが大きいからだ。

 じつは、私の周囲にはそういう人間がいっぱいいる。知人の子供はアメリカで生まれたため自動的にアメリカ国籍を与えられ、大人になったいまもアメリカと日本のパスポートの両方を持って日米を行き来している。台湾パスポート、英国パスポートを持っている人間もいる。

 日本で国籍法が改正されたのは1984年で、それからは22歳になった時点で国籍を選ぶこととなったが、これは申告制だ。また、罰則もないので、わざわざ申告する人間はいない。さらに、たとえ日本国籍を選んだとしても、放棄する国の国籍に関しては、日本の当局はなにも関知しない。