田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 民進党は名称が変わっても、中味は民主党そのものである。だが国民もメディアもこの点をすぐに忘れがちだ。名称さえ変えれば過去の経済政策と安全保障の失敗を見過ごすだろうという軽薄な打算が、今も見え隠れしている。同じことが、蓮舫新代表の選出にもいえるだろう。「なにか新しいものが始まる」というイメージ戦略が企てられているが、実際には民主党政権時代の負の遺産をより強力に継承しているだけである。

 蓮舫代表が推し進めようという経済政策は、財務省ご謹製ともいえる増税=緊縮政策である。「女性の社会進出」、「子どもの貧困対策」、「老人の福祉」などと、一見国民の心情に訴えやすい看板を掲げているが、それらは著しく具体性に欠け、いわばメディアや世論の注目を集めやすい、人気の話題だけを持ち出しているにすぎない。経済政策の方向性でむしろ異様なほど具体的なのは、消費増税を核とする緊縮策である。この増税=緊縮策も、名称だけみれば、「財政再建」とか「社会保障の充実」などと掲げられているが、実際には増税による財務省とその周辺グループの既得権益の増大を狙うものでしかない。
民進党両院議員総会で蓮舫代表(右)は、野田佳彦前首相を幹事長に起用する人事案を提示し了承された=9月16日、東京都千代田区(撮影・春名中)
民進党両院議員総会で蓮舫代表(右)は、野田佳彦前首相を幹事長に起用する人事案を提示し了承された=9月16日、東京都千代田区(撮影・春名中)
 この「消費増税=緊縮策」象徴のひとつが、野田佳彦前首相の党幹事長起用である。蓮舫代表と野田幹事長が以前から党内勉強会などを通じて強いつながりがあることはわかっていた。さらにこの野田幹事長と屈指の消費増税派である藤井裕久元民主党最高顧問とは、財務省消費増税主義のいわば“師弟関係”にある。鳩山由紀夫政権のときの財務大臣(藤井)と財務副大臣(野田)であり、当時、藤井氏は野田幹事長に増税=緊縮策という財務省的な経済思想を官僚総出で“教育”したとされている。

 つまり、財務省的な消費増税主義は、藤井―野田―蓮舫という強いラインで結ばれている。筆者は消費増税路線こそ日本の経済が改善する道を妨げている最大の「悪」だと確信している。確信するだけではなく、この連載でも何度も事実と論理を提示してきた。アベノミクスがデフレ脱却という点で困難に陥りそうなのは、この消費増税路線の妨げによることが大きい。もちろんインフレ目標の到達が難しくなっているだけで、雇用面では何十年ぶりの改善がみられるし、実体経済も底堅い。しかし、より発展の余地があるのを妨害しているのは、2014年4月から続くこの消費増税の影響であることは疑う余地はない。