このままでは、国民からの税金を将来も100億円単位でどぶに捨て続けることになる。既に1兆円以上が投入されているにもかかわらず、稼働できないまま機器の点検漏れなど不手際のみが続く日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)である。

 廃炉を視野に入れた検討が進むのは当然だ。遅きに失したといえる。ただし廃炉の議論では、もんじゅに代わる新たな高速増殖炉のビジョンが欠かせない。核燃料サイクルの前進につながるもんじゅの幕引きを、政府全体で検討すべきである。

高速増殖炉原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市
高速増殖炉原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市
 もんじゅの廃炉を促す意見が政府内で強くなっている。原子力機構を所管する文部科学省は昨年、原子力規制委員会からもんじゅの運営を同機構以外の別組織に変更するよう求められていたが、未対応だ。このことも廃炉論の高まりの一因になっている。

 もんじゅの存続を疑問視する声は以前からあった。平成7(1995)年のナトリウム漏れ事故とビデオ隠し以来、信用を失う事故や不手際が相次ぎ、ほとんど運転できていないためである。にもかかわらず、約20年間にわたって毎年、100億~200億円を空費しつつ、今日に至っている。民間企業ならとっくに倒産していたところだ。それでも存続し得たのは、もんじゅが高速増殖炉の実用化を目指すための原子炉であるからだ。

 エネルギー資源に乏しい日本にとって、燃やした以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉は「夢の原子炉」とされ、そのための燃料生産に関わる再処理工場などとともに、核燃料サイクルの中核施設に位置づけられている。

 国の長期のエネルギー安全保障に不可欠の存在として、無為徒食のまま温存されてきた。もんじゅを開発した旧動力炉・核燃料開発事業団と後身の原子力機構に、甘えと傲慢の構造があったことは否めない。これを放置した旧科学技術庁と文科省の責任も厳しく問われるべきである。原因の解明を怠れば、同根の失敗の繰り返しにつながろう。