井上政典(歴史ナビゲーター)


 イスラム教シーア派とスンニ派の争いがとうとうイランとサウジアラビアの断交にまで発展しました。どちらでも同じだろうというのが、長い間神仏習合で培ってきた精神文化を持つ日本人ですが、宮崎正弘先生のブログを読むとそうはいかないようです。一神教は、神様は一つだけとなっていますので、それ以外の神様(真理)を認めることがありません。同じヤーウェの神様なんだからどんなアプローチでもいいだろうと思うのが日本人の常ですが、一つ正しい事を決めると他は邪な事になるのが一神教の考え方です。

 デジタル思考とでも言いましょうか、「1」と「0」しか存在しない世界です。日本のようにアナログなどっちかというとこっちによっているんだけどという考え方は通用しないのです。童話に「泣いた赤鬼」というものがありますが、これを英語に概念まで訳すことは不可能だと思います。というのは「鬼=悪魔」と考えると、悪魔にやさしいやつなんかいるもんかという考えです。

 自分が正しいと思えば相手が間違っているという考えにもなります。これは朱子学が主流の韓国でも言えることで真理は一つで、自分たちが正しいから日本は間違っているというとんでもない論理となります。日本人には厄介ですが、日本人が世界では少数派ということを理解せねばなりません。中東で起きている問題はISIL問題も含めてますます混沌として行くのが平成28年はそれに対処していかねばならないという年になるでしょう。

 ここまでは99%の人が同意されると思います。では具体的にどう対処するのかとなると意見が分かれます。というのは、中東情勢が不安定ということは日本経済の血液というべき石油の大部分が止る恐れがあるということです。いやいやインドネシアやマレーシアがあるじゃないかという方もいますが、現在の日本の状況ではそんなに甘い状況ではありません。

石油ショックで、ガソリンの値上げをするガソリンスタンド=1974年3月
石油ショックで、ガソリンの値上げをするガソリンスタンド=1974年3月
 なんせ原子力発電所が稼働しているのが未だに川内の二基だけであり、高浜原子力がもう少しで稼働すると思いますが、まだまだ日本のエネルギーの大部分を担うだけの再稼働はめども立っていません。もし震災前と同じ原子力による発電量が4割あれば、通常の電力は原子力だけで賄えます。現在の日本の原子力発電の能力から言えば十分にそれを賄えるだけのものがあります。

 ただ、原子力規制委員会が邪魔をしてそれをさせていないのが現状です。その委員長の田中俊一氏は原子力研究機構(原研)時代から代々木系労組の強い影響を受けていたと言われています。つまり、社会党系の労働組合で要は左巻きなのです。政府が原研の影響を受けさせたくないために別に動力炉核燃料開発事業団を作ってそこにやらせたために、もんじゅの開発からはずされ恨みを持っていると思われます。

 ただ三条委員会という強力な委員会で政府も介入できない特権を持っています。田母神閣下曰く、「原子炉が暴走したらというが、暴走しているのは原子力規制委員会だ!」。もしこれが人権擁護法などが成立し、人権委員会が三条委員会になったら考えるだけでも恐ろしいことになります。

 電力会社の再稼働申請にも誤字が見つかるとすべてが不備として突っ返され、電力会社の担当者の大部分が本来の原子力発電所の安全とは全く関係の文字の校正で人力と時間を取られています。例えば、長さが3センチというとそれを計った定規がメートル原器で保障されたものかの証明書作りからしなければならないという嫌がらせとしか思えないものです。

 旧原研が赤い左翼組合に牛耳られていたために、政府が嫌い自分の立場を不当なものにしたと思っている節が随所に見られます。核燃料サイクルは国家の安全保障上特に重要な事案であり、左翼系の労組が力を持っているところに託せるはずもありません。
 
 数百ページの書類も誤字がひとつでもあれば、不備として突き返すようなことをしていては、本来の電力の安定供給と原子力の現場での安全確認におろそかになるのです。そういう状況の中でもし中東不安が表面化し、石油や天然ガスが入らなくなった場合、日本はいったいどうなるのかとどれだけの人が危惧しているのでしょう。

 テレビ朝日の玉川という記者は、地球の気候変動が激しくこれは膨大な化石燃料によるものだとしながらも、自然エネルギーで賄うという趣旨の発言を今朝の番組でしていました。家庭の電気はそれで賄えるかもしれませんが、産業用は不可能だということがまだわからないのでしょうか?東京に行くと地上と地下を縦横無尽に電車が走っています。これらを自然エネルギーで安定的に動かすことができるのでしょうか。

 高層ビルにたくさんのオフィスがあり、そこの電気や空調やエレベーターの電気はどうやって安定的に供給するのでしょうか。工場でベルトコンベアーを動かすエネルギーが太陽光発電でまかなえると本気で思っているのでしょうか。

 すぐに点検を終えた原子炉から再稼働し、電力供給度合を原子力にシフトしないと第三次の石油ショックが起こったら、今の日本経済はいっぺんにマヒし、せっかく順調な日本経済もいっぺんに吹っ飛び、そのしわ寄せは私たち国民を直撃するのが想像できないのでしょうか?

 今ある施設を有効に活用しながら、将来の問題を考えていくのがバランスのとれた方法論だと思うのですが、中東問題と日本のエネルギー供給は全く別物と考えている人の考えを聞いてみたいものです。
(2016年01月05日「井上政典のブログ」より転載)