横浜DeNAベイスターズが、9月19日の広島戦に勝って、Aクラス(3位以内)を確定。新球団になって初めてのクライマックスシリーズ(CS)出場を決めた。ベイスターズは12球団で唯一CSに出た経験のないチームだった。これでようやく不名誉な記録にも終止符を打った。

 広島カープの25年ぶりの優勝と並んで、横浜DeNAのCS出場は、プロ野球の未来を変える、あるいはプロ野球界に確実な地殻変動が起こっている表れとも感じる。

 両チームに挟まれて2位にいる巨人は、この流れに乗り遅れているガラパゴス的存在といったら巨人ファンに怒られるだろうが、私自身も幼い頃から巨人ファンだった。その私が巨人への愛着や応援する意欲を削がれているのは、時代の流れに巨人が沿っていないことも大きな要因ではないか。

 単純に言えば、誰がチームを応援するのか? 巨人ファンの姿が見えにくくなっている。広島や横浜DeNAのファンの姿ははっきりと見える。どこに行けばファンがいるかも想像しやすい。

プロ野球巨人対DeNA。本塁打を放ったDeNAの筒香嘉智
=9月24日、東京ドーム
プロ野球巨人対DeNA。本塁打を放ったDeNAの筒香嘉智
=9月24日、東京ドーム 
 巨人は全国区、広島や横浜DeNAは地方区。他のチームもいまは地域に根ざして、濃密なファン意識を高めている。巨人が東京のチームかといえば、それは曖昧だ。東京には、東京ヤクルトスワローズがある。Jリーグのフランチャイズ制をきっかけに浸透した地域球団の流れは、いま日本の潮流となっている。見事にそれを体現した広島カープと横浜DeNAは今季例年以上の結果を残し、地域を核にすることで逆に出身者以外のファンも吸引するという現象さえ巻き起こしている。

 『4522敗の記憶』という本をご存知だろうか。副題には「ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」とある。長年のファンでもある村瀬秀信さんの綿密な取材、多くの選手や関係者へのインタビューを土台に構成されたノンフィクションだ。12球団で最も負け数の多いベイスターズをファンはなぜ応援し続けるのか。そして、チームはなぜ負け続けるのか。かつて古い体質を持っていた時代の、不甲斐ない球団の振る舞いやいざこざの詳細も綴られている。2013年に単行本が出され、今年1月には文庫本化されたことを見ても、この本が着実に読者の支持を得ていることがわかる。

 本からは、「これじゃ、やっていられない」読めば誰もがため息をつく、劣悪な環境で選手たちは懸命にプレーを続けた歴史が浮かび上がる。

 かつて選手たちに移籍の自由はなかった。が、FA制度ができて、選手は新たな環境に移る権利を得た。内川が、村田修一が、ファンの願いもむなしく、チームを去った。ベイスターズはますます勝利から遠ざかるチームとなった。