天下分け目の「関ケ原の戦い」迫る-。物語が急速に動き始めたNHK大河ドラマ「真田丸」。今作の主人公・真田信繁(堺雅人)の兄、信幸は、まじめでちょっと堅物なタイプ。謀略大好きの父・昌幸(草刈正雄)と、何事にもソツのない弟・信繁に挟まれ、立ち位置の難しい役どころだ。信幸役の大泉洋(43)は、「私が演じることで、ドラマ史上一番親しみやすい、愛される信幸になったんじゃないかな」と、冗談めかして語った。(本間英士)

 《昨年9月のクランクインから間もなく1年》

 「真田丸」が始まってからですね、私は至る所で「かわいそうだ、お兄ちゃんは…」と同情されました(笑)。 そういうときは、「今後、もっとひどくなりますよ」と言い返していました。(「関ケ原の戦い」や「正室」問題など)どれだけ板挟みになるんだよ、と思いましたね。ちなみに、(ダメな父親役を演じた昨年の朝ドラ)「まれ」の時によく言われたのは、「しっかりしろ!」でした。

 《「真田丸」の信幸についてどう考えているか》

 脚本の三谷(幸喜)さんは、人物をコミカルに描くところがあります。信幸は後に真田家存続の礎となり、「信濃の獅子」と呼ばれた人物です。格好良い信幸を期待していた人には申し訳ないという気持ちはありつつ、私が演じることで、ドラマ史上一番親しみやすい、愛される信幸になったんじゃないかな、という気持ちもあります。

 史実の信幸は、ずっと弟と父のことを気に掛けていました。これは手紙にも残っているし、「真田丸」でもそうです。だからこそ、「関ケ原の戦い」で信幸はつらかったと思いますね。父と弟が、徳川に対してバンバンむちゃするから。その間に挟まって、大変だったと思うよ。

 「大坂の陣」もそうですよね。自分の会社(徳川家)を潰そうとしているやつが、自分の身内なわけでしょ。「何やってるの!」って感じですよね。
NHK大河ドラマ「真田丸」で真田信幸を演じる大泉洋
NHK大河ドラマ「真田丸」で真田信幸を演じる大泉洋
 《コミカルな役柄が多い大泉にとって、信幸はいつになくまじめな役だ》

 面白いシーンが多いですが、「面白く演じすぎてもいけない」と気を付けています。以前、三谷さんから、「面白いセリフをいう前に、(大泉は)鼻の穴がデカくなる。気を付けてください。まじめにやってほしい」という指摘を受けまして。そうはいっても、クセなんだから、こればっかりは訓練できないし…。難しいところです。

 《序盤、事あるごとに信濃の国衆・室賀正武(西村雅彦)から「黙れ小童(こわっぱ)!」と信幸が怒られるシーンがインターネット上で話題に。真田家のおひざ元・上田では、「黙れ小童せんべい」も発売された》

 兎にも角にも、言い続けてくださった西村さんの演じっぷりですよね。実は、視聴者の皆さんが盛り上げてくれる前から、僕らも現場で言っていたんですよ。「これは流行語大賞だ」と…。何かあれば「黙れ小童!」と、非常にワード(言葉)として使いやすいんですね。信幸にしたら、何か言おうとしたときに言われるので、悔しい思いをするんですが。

 私事で恐縮ですが、7月に北海道で行われた私たちの事務所のイベントで、皆さんが『黙れ小童!』と書かれたうちわを、やたらと振っていたんですね。非常にはやっていることを実感しましたね。

 《物語の途中で正室が、こう(長野里美)から稲(吉田羊)に変わった》

 戸惑いましたね。信幸にすれば、非常にやりにくい。そのうえ、「コンビか!」ってくらい、どのシーンでも2人はほぼ居合わせる。稲とおこうさんのパートだけ、若干昼ドラみたいな感じでしたね(笑)。

 不思議なのが、なんでおこうさんは、侍女になってからあんな元気になったのか。(こう役を演じた)長野さんも戸惑いつつ、「(正室の)プレッシャーだったんでしょうね」と言っていましたが、正室でいてくれたときにもうちょっと元気でいてくれよ、と。ご飯くらいよそってくれよ、と(笑)。

 《史実では、昌幸・信繁親子が西軍方に付き、信幸は東軍方に付いた。「関ケ原の戦い」の直前、この3人が東西どちらの陣営につくかを協議した「犬伏の別れ」のシーンを演じ、どう感じたか》

 「犬伏の別れ」は、親子が敵味方に別れる悲劇という、真田家を語るうえで大事なところです。だから、そこをどう描くのかは楽しみでした。「真田丸」では、「犬伏の別れ」で真田家が二手に分かれて戦う理由について、三谷さんらしい描かれ方がされています。ぐっとくるセリフがありましたし、私自身も「きた! 信幸、頑張ってる!」と、信幸の成長を感じました。楽しみにしてほしいです。

 《信幸・信繁の兄弟は、後に「大坂の陣」で再び相まみえることになる》

 信幸は、後に(松代藩主として)真田家を守っていった人。信幸なりの戦い方が、どう描かれるのかが楽しみですね。これからは、なかなか弟(信繁)とも交わらなくなっていきます。「大坂の陣」で、2人はどう関わっていくのでしょうか。史実でもその辺りのことはなかなか出てこないので、私自身、どうなるのかしらと楽しみにしております。