中村幸嗣(元自衛隊医官)

 今はやりの夢のがん免疫治療薬「オプジーボ」。作用機序などはいろいろなサイトを参照して欲しいと思いますが、基本今までの免疫治療におけるアクセル増強ではなく、ブレーキ解除の治療になります。この発想の転換で、今までゼロだった再発難治性肺がん患者の治癒を一定の割合で生み出すことができるようになりました。本当に夢の治療薬と言えますが、今回その問題点について簡潔にまとめみたいと思います。

 まず現在のがん治療について解説していきます。ついこの間まで悪性新生物、いわゆるがんの治療法は、「手術」「放射線」「抗がん剤」の3大治療法しかありませんでした。そしてそれらを組み合わせることでがん医療は治療成績をわずかながら進歩させてきました。しかし同時に目に見える延命効果が僅かであったため、その副作用とクオリティ・オブ・ライフ(QOL=生活の質)悪化のバランスが問題となり、抗がん剤を使わないほうがいいという主張で論争が起きるなど医療不信の原因ともなっていました。
 あなたががんと言われても、病変が限局し手術で取りきれば完治の可能性があります。実際手術適応の胃がんでは90%以上手術で治癒、長生きできます。がんが拡がっていて手術できないような時は抗がん剤や放射線が使われますし、それこそ手術前に使用して小さくしてから手術という方法も存在します。ただがん種によって異なりますが、血液疾患等を除いて、抗がん剤等は治癒ではなく延命を目的に行なわれることが多く、再発したがん患者の治癒はほぼ絶望的で、命を一定期間延ばすだけでした。

 この3つの治療に加えて現状を打破し新たに出てきた治療法が免疫治療です。抗PD−1遺伝子抗体Nivolumab(オプジーボ)の登場で、奇跡のがん治療が一躍現実のものとなってきています。アメリカのカーター元大統領はPembrolizumab(キートルーダ)と呼ばれる薬の恩恵を得ています。

 まさにいいことづくめのようですが、いまある問題点を解説していきます。

問題点

1 高額な値段
2 投与するまで効果の予測が難しい
3 やめ時がわからない(Until PD)
4 副作用が今までと違う
5 併用薬がまだ不明