潮匡人(評論家)

発射実験の域は超えた


 8月24日早朝、北朝鮮が半島東岸から東北東に向け、新型SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)「KN11」(推定)を発射、約500km飛翔させ、日本の防空識別圏(ADIZ)内にあたる日本海上に着水させた。自衛隊による破壊措置は取られなかった。
北朝鮮による潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験(撮影日時不明)。2朝鮮中央通信が4月24日に配信した(ロイター)
北朝鮮による潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験(撮影日時不明)。2朝鮮中央通信が4月24日に配信した(ロイター)
 8月22日から始まっていた米韓合同軍事演習に北朝鮮は「敵に先制攻撃を加えられるよう決戦態勢を堅持している」、「我々の領土、領海、領空に、わずかでも侵略の兆候を見せれば、核の先制攻撃を浴びせ、挑発の牙城を灰の山にする」(軍総参謀部)と反発していた。

 北朝鮮は昨2015年以降、SLBMの発射実験を重ねてきたが失敗を繰り返し、今年4月の飛翔距離も約30kmに終わっていた。ただ、これまで北朝鮮が公表した画像や映像が捏造でないなら、空中にミサイルを射出したあとに点火する「コールド・ローンチ」システムの運用に成功している。それも従来の液体燃料ではなく、不意急襲的な実戦運用に適した固体燃料が使用された可能性が高い。

 それが7度目となる今回、飛翔距離が大幅に延びた。案の定「固体燃料エンジン」(金正恩・党委員長)が使用され、機体の1段目と2段目の分離にも成功した(と推定する)。しかも今回は「最大の発射角度で行なわれた」(同前)。通常の角度なら1000km以上、燃料を増やせば2000km以上飛んだ計算になる。深刻かつ重大な脅威である。

 北朝鮮は8月3日にも半島西岸から弾道ミサイル「ノドン」(推定)を東北東に発射。約1000km飛翔させ、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着水させた。今年3月にも一昨年3月にもノドンを日本海に向け西岸から半島を横断させ発射した。間違いなく「ミサイルの性能や信頼性に自信を深めている」(最新平成28年版「防衛白書」)。