山田順(ジャーナリスト)

 ネットメディアが登場してから今日まで、さまざまなことが言われてきた。ただし、言われてきたことのほとんどはネット先進国アメリカの受け売りで、日本の現状には全く適していない。なぜなら、日本のネットメディア環境は、世界と比較するとあまりにも特殊、つまり「ガラパゴス」すぎるからだ。

 今回は、主にネットのニュースメディアについて考察するが、日本は完全なガラパゴス状態にある。日本人は、ネット世界を日本語でしかサーフィンしないから気がつかないが、多くの先進国では多種多様なニュースメディアが育っていて、それなりに共存している。ところが日本では、ほぼ一つのニュースメディアしかないような状態が続いている。

 ずばり言うと、「Yahoo!(ヤフー)」しかない。ネットメディアはYahoo!の1人勝ちになっている。それ以外のニュースメディアは、ほとんど存在感がないと言っていい。
米カリフォルニア州の米ヤフー本社
 一般的にニュースと言えば、新聞、テレビだが、「朝日」「日経」「産経」などの新聞社のオンラインサイト、「NHK」「日テレ」などのテレビ局のオンラインサイトが束になってもYahoo!にはかなわない。しかも、ネットユーザーは、この状況になんの疑問も感じていないようなのである。

 いまやスマホ全盛時代だが、スマホ使用者の5割以上が、ニュースを知ろうとするときにアクセスするのはYahoo!である。つまり、日本のネットではYahoo!によってニュースが独占的に流されているのだ。

 この状況は、今年の6月に公開されたロイターの「デジタル・ニュース・レポート」(2016年版)の調査にはっきりと現れている。このレポートはネットで閲覧できるので、興味のある方はぜひ見てほしい。

 このレポートで、ネットユーザーが主に利用している「オンライン・ニュース・ブランド」を国別に見ると、日本では断トツでYahoo!になっている。「Yahoo」は週間利用で59%、メインソースとして利用で49%となっていて、2位の「NHKオンライン」(同16%、同5%)、3位の「日経オンライン」(同13%、同4%)を大きく引き離している。

 ところが、アメリカでは、多くのニュースメディアがネットで共存しいて、抜けたメディアはない。1位は「Yahoo News」(週間利用28%、メインソースとして利用12%)だが、2位にはオンラインメディアの「ハフィントンポスト」(同25%、同6%)、3位には「FOXニュース・オンライン」(同22%、同10%)が入っていて、その差はそれほど開いていない。既存メディアの「CNN」(同21%、同6%)や「NYタイムズ」(同14%、同2%)なども健闘している。これは、アメリカだけではなく、欧州諸国もまた同じである。つまり、Yahoo!だけが突出しすぎている日本の状況は異常と言わざるをえない。