こうした執筆者の情報は、ネットメディア側も自己防衛のためになるといいます。外部フリーランスの記者が多いことから、「記者のデータバンクをつくってネットメディア業界で共有する」。また「記者側もジャーナリストの横断的で自立的な組織をつくって、個人で加盟する仕組みをつくっていってもいいのでは」と言います。メディア側は記者の資質・信頼性の評価ができ、捏造した記者は他媒体でも使われないようにすることができるとみます。
日本報道検証機構(WANJ)代表の楊井人文氏
日本報道検証機構(WANJ)代表の楊井人文氏
 メディア側の外部記者に対する対応としては、いざ記事が問題になったときには、取材ノート、パソコンのデータ、録音データなど、判断材料の提供を求めることが出来るような契約にすることも提案します。「メディア側は取材に立ち会っているわけではない。あとできちんと検証できる環境をつくっておかなくてはならない」と話します。

 楊井さんが、日本のメディアの「悪い習慣」と指摘するのが、「かぎかっこ」を使った発言の引用の仕方です。「極力、実際に発言した内容を忠実に引用」「取材プロセスの正確な再現をしなくてはいけない」と言います。例えば、記者が質問した内容を「はい」と肯定しただけでも、記事では、発言した言葉となってかぎかっこ付きで引用する手法がよくみられると指摘します。

「エア取材と違って一からの捏造とは違うが、異なる引用は読者からは発言の捏造と取られても仕方がない」「意味が変わったり、ニュアンスが変わったりということが往々にある」。取材対象者とのトラブルの原因として、GoHooで取り上げている中で大きなパターンになっています。

記事は「情報源の明示」を原則に


 また、署名と同じく記事で重視するのが「情報源の明示」です。記者には情報源の明示を条件にし、スタイルとして徹底させることを求めるべきだと言います。「記者も全知全能ではない。人の話を聞きながら書くわけだから情報源が間違っていることもある。情報源が明示されていれば、読者にこの記事は信頼できるか、疑ったほうがいいか、判断材料になる」。

 しかし、日本では大手メディアでも「関係者によると」という表現が用いられやすく、「欧米では情報源を原則明示。内部告発で匿名にせざるを得ないときはその事情を明らかにしている」と指摘します。「『関係者によると』では、色を付けたり、想像や捏造が起きてしまう可能性は十分ある。書く側が記事を完成させるため、あるいはストーリーを面白く作るために、この一言が欲しい、という誘惑を防ぐためにも、情報源を明らかにする」。メディア側も、記事中の情報源のところだけでもチェックし、明確でない記事には、記者にルールとして「情報源明示」を求め、守ってもらうことを原則にするべき、と言います。