楊井さんは誤ったネット記事を取り上げるニュースを配信する「アグリゲーターの対応の仕方」も課題を挙げます。「多くの外部記事が無編集で取り上げられている中、今回のビジネスジャーナルの捏造の記事を含め、誤りが多くあると思います。ただ削除だけで終わらせてしまうのはいかがなものでしょうか」。

 「誤報はゼロにはできないものなので、すみっこで読者にわからないような形で訂正してすますべきではない。より正確な事実が判明すれば読者に積極的に開示すべきです」。楊井さんは「訂正を可視化する」というポリシーでGoHooの活動に取り組んでいると説明します。「大手メディアだけに限らず、ネットメディア、あるいはニュースアグリゲーターにも可視化が同じように求められることだが、まだまだできていない気がします」。

 大手メディアのサイトでも、記事の書き換えや削除が行われることに疑問を呈します。訂正や削除前の記事が、既に転載されている可能性は高く、そのことがさらにメディアの信頼を損ねる結果になる、と考えるからです。「一度発表したものを事後的に消したり、訂正したり、削除するときはきちんと履歴を残す。それも原則にするべきと思います」。

 例えば、ニューヨークタイムズは紙面だけでなく、ホームページ上でも訂正のページを設けています。「欧米メディアもチェック体制が厳しいといわれるが誤報は防げない」「読者に対し、誤りを包み隠さず説明するという意識を持っているかどうか」。

 「読者の信頼を得るための方法はいくつもある」と楊井さんは言います。訂正の履歴を明らかにすることは、日本の読者も「ケアレスミスは起きてしまうもの」「このレベルの誤りは仕方がない」「これは許しがたい」とわかって、メディアに対する認識が変わってくる可能性を指摘します。

「メディアは不完全であることを読者にもわかってもらう。わかってもらった上で、どれだけ最善を尽くしていくのか」。楊井さんは語ります。「とにかく正直になることがベストですね」。