東京五輪招致で、電通が裏金に関与していた疑惑が発生した。ネットの世界では電通といえば黒幕というイメージが定着している。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏がその実態を解説する。

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 裏金疑惑に電通登場でざわめくのがネットである。というのも、複数テレビ局がカネの流れの図を示す時に電通部分を外し、さらには国会でも民進党議員がフリップに「広告会社D社」なんて書く。いずれも電通が政財界マスコミを牛耳っているということの証明とされた。

 ネットの定説としては、電通はCM・番組のキャスティング権をすべて握り、企業不祥事も握り潰し放題。AKBと韓流があたかも流行っているかのように見せる演出もお手の物で、朴槿恵と舛添要一の会談も電通が仕切り、男の社員は全員が芸能人の枕営業を受けている。こうなったら大雪も猛暑もゲリラ豪雨もすべて電通の陰謀によるものだ。

 実際、メディアが電通に遠慮するところはあるだろう。それは、大きな権力を持っているからということ以前に、「身内」だからということが案外大きい。マスコミは身内に甘い面もある。テレビの場合でも稲垣吾郎が道交法違反で逮捕された時も「稲垣メンバー」と報じたほか、島田紳助がマネージャーを殴った時も「島田司会者」と手心を加えて報じた。今回も「いつも広告くれてるからなァ……」なんてことで、「まっ、名前は抜いておくか」と甘くしたのだろう。

 広告ビジネスの成り立ちを考えると、電通はスポンサーの下請け業者である。だから、彼らから切られたら終わりなのだ。ただし、電通を切っても他にロクな広告会社がなく、電通が最も優れているだけになかなか切りづらい。そこは2位の博報堂や3位のADKなども含め、お前ら情けないぞコラ。

 この力関係から言えば、電通にペコペコするのは、下請けの制作会社やら、滅多に広告が入らなくて困っている弱小メディア、芸能事務所だけである。むしろ、広告主にとっては、広告を見てもらう対象である我々「視聴者様」こそが最強なのである。

 だから、電通が行なったキャンペーンやCMで不備を発見し、クレームを入れまくれば、スポンサーは電通担当者を呼び出し事情聴取をし、対応協議をするだろう。