平尾誠二さん逝去の報に、胸が締め付けられた。

 今年3月、長崎県主催のシンポジウムでご一緒した時、かなりお痩せになっていたので、体調を案じていた。これほど早く旅立たれるとは残念でならない。53歳、あまりに若すぎる。
【第32回日本選手権決勝】前半2分、神戸製鋼の平尾誠二(中央)がモールサイドを突き先制のトライ。これで神鋼の猛攻に火がつき、大東大を下し、7年連続日本一を飾った
第32回日本選手権決勝で、前半2分にモールサイドを突き先制のトライを決めた神戸製鋼時代の平尾氏(中央)。これで神鋼の猛攻に火がつき、大東大を下して7年連続日本一を飾った
 平尾誠二という類いまれな人材を失ったラグビー界、いやスポーツ界にとどまらず日本社会の損失は言葉に尽くせない。ラグビーの選手、指導者としての独自性だけでなく、競技と教育の融合、スポーツと社会の有機的な関係作りなどの面でも、これから大いに貢献してもらえる才覚の持ち主だった。

 もし体調が万全ならば、新設されたスポーツ庁長官の有力候補のひとりだったろう。

 現役時代の華麗なステップとランニング、難しいフェイントでディフェンスをかわし涼しい顔で味方にパスを渡す姿は、ガツンガツンとぶつかる猛々しいイメージの強いラグビー界で異彩を放っていた。

 私は東京に住み、サントリーラグビー部(当時)を取材して本を書く立場でラグビーを見ていたので、そんな平尾選手に何度も悔しい思いをさせられた。