ことの経緯は多くのメディアで既に報じられていますので本稿では省略しますが、韓国はそもそも我慢しない人たちによって構成された社会であり国家だと考えるべきでしょう。それが良いとか悪いとかではありません。韓国国民の民情として「大統領の名誉が日本の極右によって毀損された」と感じられれば、たとえその元ネタが韓国大手紙・朝鮮日報の引用だったとしても、あるいは、別に韓国国内向けの記事ではなく産経MSNでの韓国事情を紹介するに過ぎない記事だったとしても、そうと知ったからには韓国人の怒りが収まらないのでしょう。

 産経新聞が紙面作りや報道の方針として、元々韓国に好意的ではないのはある程度知識のある日本人であれば誰でも知っていることで、ある意味で「そういうものだ」と思って読むのがリテラシーというものです。とはいえ、そういう日本の知識人が持ち合わせているものと同じレベルで韓国人に理解せよといっても難しいことであろうし、仮に「韓国人に本件を分かるように説明せよ」といっても私は韓国人を怒らせない自信がありません。

 日本ではどこの週刊誌でも書くようなゴシップレベルの話を伝えた程度で韓国人がぷんぷんに怒る理由が分からないのですから。同じように、青瓦台が韓国国民の感情にも配慮して拳を振り上げるのもおとなげないですが、こういう問題で冷静にならない韓国社会のことを知っていれば、韓国政府も一緒になって怒るのも理解できないでもありません。普通、他の国では起きないというだけで。

 一連の韓国での産経加藤支局長の起訴劇を「韓国の前近代性によるもので、民主主義の観点からしても危険だし望ましくない」と評するのはとても妥当です。しかし、本件ひとつを持って韓国の問題を語るよりも、各産業分野や商慣行、法制度、行政といったあらゆるパーツで似たような問題が起きるのが韓国なのです。

 例えば、金融の分野において韓国財界というのは世界的に見ても非常に特異な振る舞いがある地域であり、ローンスター銀行や現代スイス貯蓄銀行など一般的な金融業界の商慣行ではあり得ないような事例が、むしろ韓国金融当局と一体となって行われることもあるほど不思議な国家です。オンリーインコリアを略した"OINK"という豚の鳴き声に模した揶揄も一時期流行したほどです。もう韓国とはそういうものであり、関わり方をひとつ間違えると身体ごと持っていかれてもおかしくないのだと知っておくほかありません。

 正直、そういう社会が隣国で成立しているというのは日本にとって悩ましい話ですが、これはもう、しょうがないことです。頭に血が上った韓国政府に対して「民主主義においては表現の自由があり、市民社会において守られるべき価値なのだ」と説いても始まりません。日本人としては「産経が時として民族主義・極右と見られることがある」のをうまく隠しつつ諸国に対して韓国の前近代性を問題提起し、民主的な価値を重視する日本の立場を情報発信していくことが、韓国のオウンゴールのような失態を活用する最大の手段なのではないかと思います。