竹嶋渉(元在韓ジャーナリスト)

 現在、韓国では、大阪は「嫌韓感情が渦巻く危険な都市」ということになっている。嫌韓感情に駆られた日本人が韓国人に嫌がらせや暴行を繰り返しているというのである。ネットメディアや大手マスコミが連日そうした報道を行っているのであるが、その発端となったのは、「わさびテロ」と呼ばれる事件である。

外国人客にわさび増量のすしを提供していた「市場ずし難波店」=大阪市中央区
外国人客にわさび増量のすしを提供していた「市場ずし難波
店」=大阪市中央区
 この事件の顛末は割合と単純である。9月中旬、大阪ミナミのすし店「市場ずし難波店」で韓国人観光客にわさびを大量に入れた寿司を出していたことが、韓国のネット上で話題となった。わさび増量の寿司を出されたという韓国人客がネットの掲示板に「わさびテロだ」「韓国人差別だ」「民族差別的な発言をされた」と書き込み、これが日本のネットに波及する形で炎上、同店を経営する藤井食品(大阪・茨木市)が謝罪に追い込まれた、というのが大まかな経緯である。

 すでに事件は一段落しているのであるが、その一方で明らかになっていないこと、首をかしげたくなるようなことも多い。まず、実際に「市場ずし」の従業員が韓国人客にわさびをこってり塗り付けた寿司を出すような嫌がらせをしたのか、という点である。藤井食品はホームページ上で「謝罪」はしているものの、「わさびテロ」や「韓国人差別」に対して謝罪しているわけではない。

 掲載された「謝罪文」を要約すると、「海外から来たお役様がガリやわさびの増量を求めるため、事前確認なしにサービスとして提供した」と述べた上で、「わさびなどが苦手なお客様に不愉快な思いをさせる結果となってしまった」ことについて謝罪しているのである。また、「民族差別的な発言に関しては、そのような事実は確認できなかった」としている。実際にわさびの増量を求めていた外国人客がいたことは事実なようで、これがわさびの増量を嫌う韓国客に「嫌がらせ」と認識された可能性はある。韓国料理が非常に辛いため、韓国人は辛さに強いと思われがちだが、実は韓国人が強いのは唐辛子の辛さだけで、わさびやカレーの辛さには弱いのである。その証拠に韓国の練りわさびやカレーはまったく辛くない。