日本では、このような韓国の内情がほとんど知られていないため、日本のマスコミやネットニュースなども、ほぼ、真偽の確認もないまま韓国の「わさびテロ」報道を引用。ネット上には「識者」のコメントを含め、「日本人として恥ずかしい」「外国人差別はやめよう」などというもっともらしい声が溢れている。嫌がらせや差別が良くないことは自明であるため、一応そう言っておけば、恰好がつくからだろう。日本人であることを恥ずかしがったり、差別を糾弾したりする前に、本当にそうした事象があったのか、最低限の確認作業はするべきだ。

訪日外国人や日本人でにぎわう道頓堀
=6月26日、大阪市中央区
訪日外国人や日本人でにぎわう道頓堀 =6月26日、大阪市中央区
 また、韓国で日本人がぼったくりに遭ったり、嫌がらせをされたりすることも少なくないのだが、そうした事例はろくに報じないでおいて、日本における事例ばかり熱心に報じるというのも著しく公平性を欠く。日本のネットではこうした「違和感」「不公平感」もくすぶっており、「ウザい○○○(韓国人に対する罵倒用語)は日本に来るな」式の、正真正銘の「韓国人差別」を表現した書き込みも多数見られる。結果的に韓国の「わさびテロ」報道の無分別な引用報道が、新たな嫌韓ネタを提供する形になってしまっている。

 現在、「わさびテロ」事件は一応、沈静化に向かっているが、また同様の「ネタ」が新たに炎上する可能性は十分ある。では、我々日本人はこうした事象にどう対応すべきなのだろうか。

 外国人観光客が増えれば、それだけ摩擦や苦情も増える。そうした摩擦や苦情に対して、とりあえず頭を下げておけばいい、というのはまったくの誤りである。まずは事実を正確に把握し、原因を徹底的に究明し、そこに問題があれば謙虚に謝罪し、誤解があれば丁寧に説明し、問題がなければ断固反論すべきなのである。そうしてこそ、摩擦や苦情の原因を突き止め、再発を防止できるし、クレーマーの攻撃を遮断することも可能となる。こうした姿勢は外国人観光客を相手にする業者や店舗だけではなく、摩擦やクレームを報じたり論じたりする報道関係者や識者、広くは日本人一般に求められている「作法」なのである。