それぞれの「ボブ・ディラン」


 残念ながら今という時代は、そのポップ・ミュージックの力と、若者は若者1人の力だけでは出会いにくいようだ。それはネットの拡大によりアーカイブも含めた超広範囲の作品の中から自分だけのアーティストに出会うことが難しいということが第一の理由だろう。

 だから我々大人は(当欄のメイン読者は30代40代の方々のようです)、大きなお世話だと言われようが、それぞれが若者に聞いてほしいと思う「ボブ・ディラン」を紹介してもいいと僕は思う。その「ボブ・ディラン」は、最近のアーティストの誰かかかもしれないし小沢健二かもしれないしプリンスかもしれないしジャスティン・ビーバーかもしれないし宇多田ヒカルかもしれない。

 若者からうっとおしがられようがなんだろうが、音楽という文化の力を見直したい。その後押しを、ディランは飄々としてくれているように僕は感じている。

(2016年10月14日 Yahoo!ニュース個人「田中俊英 子ども若者論のドーナツトーク」より転載)