日本シリーズは広島2連勝のあと、日本ハムが3連勝。それぞれ本拠地で勝利をものにし、勝負の行方は再び広島マツダスタジアムへと持ち越された。

 息詰まる接戦の連続、野球の面白さを堪能するシリーズになっていると、多くのファンが熱く盛り上がっている。話題の中心はやはり大谷翔平。初戦は投手として先発しながら2本のホームランを浴びるなど、敵地で先勝とは行かなかった。

 札幌に戻った第3戦では、広島の精神的主柱でもある黒田投手から2安打を奪い、最後は1、2塁間を破るサヨナラヒットで、広島に傾いていた覇権を一気に手繰り寄せた。勝つも負けるも、そこに大谷がいる、という存在感を発揮している。

広島にサヨナラ勝ちし、喜ぶ大谷翔平(中央)ら日本ハムナイン=10月25日、札幌ドーム
広島にサヨナラ勝ちし、喜ぶ大谷翔平(中央)ら日本ハムナイン=10月25日、札幌ドーム
 果たして、最終的に日本一に輝くのは広島か、日本ハムか。ここからも大谷の投球、そして打撃が勝敗の行方を左右しそうだ。

 「ほぼ全ての球種を打席で見ることが出来た」
 黒田との初対決を終えて、大谷は語った。最初の打席は外角球にうまくバットを合わせて3塁線を抜いた。黒田にとっては、虚をつかれた感もあったのではないか。どちらが若手で、どちらがベテランか、わからない感じの勝負だった。

 次の打席は、微妙に動く変化球で黒田らしく2ストライクに追い込みながら、ウィニングショットが甘く入って、右中間に気持ちよく運ばれた。普段の黒田なら、2ストライクからの球があのように甘く入ることは少ない。大谷が待っているほぼど真ん中に、投げさせられたように投球だった。それは、ヒットになったかならないかの結果以前に、完全に大谷が黒田との間合いを制していたと言ってもいいような勝負だった。無骨なポーカーフェイスを変えない黒田だから、動揺が外には見えなかったが、クールに両者を眺めたら、上から相手を見下ろしていたのは打者・大谷だった。

 投手・大谷は、日本シリーズ初戦においては、打者を見下ろして投げていたとは言い難い。クライマックスシリーズで165キロを連発しながら、ソフトバンクの本多に粘られた。その動揺が影を落としていたようにも感じる。

 野村克也氏も指摘していたとおり、「165キロのボールがなぜ当てられるのか? 本来ならかすりもしないだろう」という指摘はその通りだと思う。150キロ台でも、往年の藤川球児の速球には打者たちのバットは空を切った。オールスター戦で9連続三振に取った江夏豊投手のボールもそうだった。当てようと思っても当たらない。