田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 蓮舫=野田コンビによる民進党の猛攻がやまない。どこを猛烈に攻撃しているかというと、自分が仕切る民進党そのものに対してだ。NHKなどの報道によると、民進党の「次の内閣」は、消費税10%引き上げを延期する法案に反対する方針を執行部に伝えるという。
都道府県連の代表らを集めた「全国幹事会」に出席した民進党の蓮舫代表。右は野田佳彦幹事長=10月8日(撮影・春名中)
都道府県連の代表らを集めた「全国幹事会」に出席した民進党の蓮舫代表。右は野田佳彦幹事長=10月8日(撮影・春名中)
 消費税はこのまま放置すると来年4月には8%から10%に増税されてしまうので、安倍政権の新しい公約の通りに平成31年10月に再延期するには、国会で法案を成立させる必要がある。民進党はこの延長法案に反対の姿勢を鮮明にした。このような蓮舫=野田コンビの方針は、国民の期待を裏切ることで、民進党の低迷する人気にさらにダメージを与えることだろう。

 誤解のないように注釈すれば、民進党は、消費税増税そのものに反対するとか、もっと先延ばしすべきだ、という次元の話をしたいのではない。消費増税を来年4月に予定通りに実施するべしというのがその主張の骨子だ。

 「一刻でもはやく消費増税を。しかも財務省の思惑どおりに」

 この方針が蓮舫代表、野田幹事長のコンビから国会議員のほぼすべてに遺伝子のごとく叩き込まれているかのようだ。財務省は消費増税の延期はもちろんのこと、公明党がこだわる軽減税率にも反対の姿勢であり、それを受けるかのように民進党も当然軽減税率にも反対している。財務省への「満額回答」こそが、民進党の党是なのだろう。もちろん軽減税率には経済的な非効率性(一部の業者や政治的レントの発生)があるが、嘉悦大学の高橋洋一教授の主張ではないが、それならばすべての消費に軽減税率を適用すればいいだろう(事実上の消費「減税」になる)。あたりまえだが、「財務省様」の意向がともかく尊重されるので、このような大胆な発想は採用できないだろう。

 民進党は、「アベノミクスが失敗」したから消費増税ができない経済環境になったといいたいらしい。しかしその「アベノミクスの失敗」とはなんだろうか。これは簡単に言えば、2014年に行われた消費増税による消費急減と現在までの低迷を意味する。消費の力が弱くなったままで、そこにまた消費増税すればさらに経済は失速してしまい、本格的なデフレ経済に陥るリスクがある。つまり「アベノミクスの失敗」とは、いまの民進党が一刻も早く実施したいと思っている「消費増税による経済悪化」に他ならない。

 ちなみに安倍政権の打ち出すアベノミクスには昔も今も消費増税自体はそのメニューには入っていない。民主党政権時代から引き継いでいる「負の遺産」である。アベノミクス自体には経済の改善効果があることは明白であり、雇用状況の20数年ぶりの改善をみれば常識でも明らかである。このアベノミクスの改善効果の中心は、積極的な日本銀行の金融緩和政策にある。