岡本裕明(Blue Tree Management 株式会社 代表取締役)

 中国と韓国の経済状況に注意マークが点灯したようです。東アジア発の不況などにならなければよいと思います。

 まず、韓国GDPの2割をも占めるサムスン社は問題になっていたギャラクシーノート7を製造中止、販売リストから落とす英断を行いました。大変な決断だったと思いますが、これ以上小手先の修理対応では何が起きるか予想がつかず、やむを得ない判断だったと思います。日本では発売されていないので日本の航空機内では警告されているのかわかりませんが、先週乗った国際線や数日前乗ったカナダの国内線ではサムスンノート7は機内で使用、充電をしないで電源を切ってください、とCAから明白にアナウンスされます。

 ここまで名指しで否定されると逆マーケティング効果でブランドイメージの遺棄は計り知れないものになるでしょう。仮に更なる対応策をとっても瞬時に広がる情報の罠にサムスン首脳部としては怖くてやりきれない思いがあったと思います。
サムスン電子本社のビルを歩く人=2010年4月、ソウル(ロイター)
サムスン電子本社のビルを歩く人=2010年4月、ソウル(ロイター)
 イ・ゴンヒ会長が心筋梗塞で入院したのは14年5月。それから2年半近くたち、長男のイ・ジェヨン氏が実質的代表の地位を固め間もなく登記理事に就任する予定です。剛腕の父親の支援が得られないまま、非常に難しい局面に立たされた息子としてここを乗り切るのはたやすくありません。

 さらに複雑なオーナーシップと関係会社間の持ち合いなどを通じて少ない株式所有で大きな力を発揮できる仕組みを作り上げている同社グループに再編せよ、という声も出ています。また、10月7日にはアップルとの特許権侵害訴訟で控訴判決でサムソンの全面敗訴で120億円の支払いを命じているほか、今週からデザイン侵害の550億円訴訟の減額審議もあり、泣きっ面に蜂とはこのことでしょう。

 かつて、ソウル大学からサムスンに入ることが韓国子弟教育、夢のプランと言われました。今でもそうなのかもしれませんが、輝きは明らかにくすんでいます。ただでさえ、ほかの財閥系企業で問題山積な中、「サムスンよ、おまえもか」では本当にお話になりません。今になって韓国政府がTPPに参加表明したのも危機感以外の何物でもない、ということでしょう。接待も厳しくなった韓国には一足早い空っ風がふいているようです。