韓国・朴大統領の支持率が2013年2月の大統領就任以来、過去最低になった。中央日報日本語版(10月15日付)は、世論調査会社、韓国ギャラップが14日、発表したデータから朴槿恵大統領の支持率は26%と報じている。朴大統領の支持率は、就任から1年半は高い率を誇っていた。支持率が60%前後あり、国際的にも注目された時期だ。国民からの高い支持率を背景に日本に対しても強い姿勢をとった。それを韓国の国民は支持する、という循環となっていた。状況が変わったのはセウォル号の沈没事故からだ。朴大統領の対応のまずさも指摘され、支持率は一気に下がっていった。支持率は50%を切り、40%前後を行ったり来たりの状況となった。確かに就任後1年半と比較すると低いが、それほど悪くない数字だ。中国との貿易への期待と日本への強硬姿勢への評価などによって一定の支持を残したと言える。ただ最近は外交も、経済も、政治も行き詰まり、閉塞感が漂う状況になった。まだ1年4ヶ月の任期を残す中で、26%の支持率はやはり問題だ。レームダック状態になりつつある。
演説する朴槿恵大統領(代表撮影・共同)
 韓国を取り巻く状況は八方塞がりの状況だ。外交・安全保障、経済、社会のすべてで不安定要素があらわれてきた。韓国は民主化してから約30年間、アジア通貨危機などがありながらも、ほぼ一貫して上昇ムードにあった。発展途上国と呼ばれた時代から、一気に先進国に変わっていった。素晴らしい成長ぶりであった。ただ、その高度成長のために無理もしてきたことも確かだ。

 現在、多くの分野でその歪みが明らかになりつつある。

1.北朝鮮外交・安全保障問題

 韓国は経済発展する中で、北朝鮮との格差は大きくなった。北朝鮮の工業力・経済力を一気に抜き去り、今では比較にならない状態だ。2014年の北朝鮮の一人あたりGDPは583.00 USDであるのに対して、韓国は27,195.20 USDである。実に47倍だ。軍事力も雲底の差だ。北朝鮮の前近代的な兵器は、韓国・アメリカの最新兵器とは比べることさえ憚られる状態だ。勝負にならない、と考えていた。北朝鮮に対しては基本的に太陽政策をとり、「上から目線での対応」をしてきた。しかし北朝鮮はそのハンディを超えるために核兵器開発・ミサイル開発を行ってきた。そして北朝鮮は中国からの忠告やアメリカからの威嚇にも関わらず、一気に核兵器・ミサイルの開発に成功してきた。ここにきて、一気に北朝鮮の脅威が問題化してきた。

2.中国外交問題

 朴政権は中国と親密な関係を築き上げてきた。かつては北朝鮮側にいる敵国陣営であったが、経済・外交で急速に接近した。安倍首相とは会談さえしない姿勢を持つ一方で、習近平主席とは頻繁に会談を持った。露骨なまでの明確なスタンスの違いを示した。2015年9月の中国の抗日戦記念行事への出席は象徴的だった。朴大統領は「格別の配慮」でもてなされた。しかし、最近は状況が一変している。THAAD配備をめぐる意見の相違から、急速に関係が冷めた。また韓国近海での中国漁船と韓国漁船・海警などとの摩擦で、険悪な状況にもなりつつある。

3.日本外交問題

 朴政権は日本への厳しい対応を続けてきた。対話さえ拒否するというのはよっぽどのことだ。国民感情にまで発展してきて、収拾がつかない状態になっている。日本においても韓国においても相手国のイメージは大きく悪化し、「嫌いな国」とする割合が急増した。日韓関係は完全に冷え切ってしまった。ワールドカップを共催し、日本でヨン様ブーム、K-POPブームが沸き起こった時代があったのが嘘のような状況だ。さすがに朴大統領も関係改善を手がけているようだが、元慰安婦問題でも、安倍ー朴合意は順調に実現されていない。日韓関係の改善は容易ではない。

4.アメリカ外交問題

 朴大統領の中国寄りの外交政策はアメリカとの距離を作ってしまった。最近の中国との関係悪化からアメリカへの距離を縮めつつあるが、アメリカも不信感がある。AIIBでも韓国は中心メンバーとして入っていった。実際には中国との関係の悪化からどこまで中心メンバー扱いになるか微妙なところではある。THAAD問題は韓国がアメリカと中国から突きつけられた踏み絵となっている。

 いうなれば、韓国は北朝鮮、中国、日本、アメリカのすべてに壁ができてしまい、外交的に身動きができない状態となった。