下條正男(拓殖大学教授)

 朴槿恵が親友とされる崔順実氏への機密漏洩が発覚しましたが、何も驚きはなかったですね。まず頭に浮かんだのは李氏朝鮮時代に権力が集中した閔妃です。同じ女性の権力者ということもありますが、国を滅ぼしかねない権力闘争や利権の奪い合いに支配階層を巻き込んだのが閔妃で、なんだかそれを見ているようです。要は「歴史は繰り返す」というだけのことなんです。

 朴槿恵の場合は閔妃ほどではないにしろ、権力闘争と利権争いを引き起こしたのは同じような境遇といえます。権力者がいれば、そこにすり寄る者がいます。結局、大統領の親友となると、その崔氏という女に近づく人もでてきます。崔氏という女もそれを自らの力と錯覚して、結果的に、大統領に影響力を使って、利権をほしいまま手に入れていったのでしょう。
ソウル中央地検に出頭した韓国の朴槿恵大統領の親友、崔順実氏=10月31日(共同)
ソウル中央地検に出頭した韓国の朴槿恵大統領の親友、崔順実氏=10月31日(共同)
 朴槿恵の私的な部分を指摘したコラムを書いて韓国検察に起訴された産経新聞の加藤達也元ソウル支局長が男性問題を取材していましたが、そういう人脈も含めてあらゆる落とし穴がある中で、人間の弱さに気づかなかったのでしょう。

 歴代大統領も似たようなもので、普通は大統領の妻や兄弟が権力にすり寄る者に利用されて、崔氏のような人物に引っかかるんです。でも、朴槿恵は夫も子供もいないので、親しい友人が不正、腐敗の窓口になってしまったということです。きっと崔氏と同様に影響力を持つ人は朴槿恵の回りにほかにもいると思いますよ。

 これは中央集権国家の弊害で、韓国に限ったことではありません。中国でも権力者の腐敗はよく知られていることで、今回の朴槿恵自体にそんなに責任があるわけではないですが、結局取り巻きの人間がそうしてしまう。韓国の大統領は孤独なんです。

 廬武鉉元大統領も退任後に親族らによる不正献金疑惑が浮上して結局自殺に追い込まれてしまったように、決して珍しいことではない。大統領の力を利用しようと、接近してくる人物に足元をすくわれる構図は繰り返されてきている。最近の韓国は朝鮮時代に先祖返りしただけなんじゃないでしょうか。

 今回の不正が明るみになったカラクリは、朴槿恵が使っていたパソコンから足がついたんでしょう。処理をちゃんとしないで、頼まれた人がそれを処理しなかった可能性が高い。本来ならきちんと消去などの処理をやってくれる人がいるはずなのに、とにかくお粗末なんですよ。