古作氏は「名人戦は詰みを逃したのが明らかに影響し、そのまま敗れた印象が強い。ほかでも羽生さんのパンチが届かないまま終わった将棋も見られる」と指摘。

 「長年複数タイトルを保持し、厳しい戦いを続けた“勤続疲労”がいよいよ出てきたのではないか。谷川浩司九段(十七世名人資格保持者)、中原誠十六世名人も45歳前後でタイトル戦線から遠ざかった。羽生さんも45歳で曲がり角の時期といえる。将棋は知の格闘技であり、トップを維持するにはコンディショニングが大事。その面で20歳代から30歳代前半の若手と比べ、40歳代中盤の不利は否めない。羽生世代がここ1年どう戦っていくか大変注目される」と話しています。

羽生善治棋聖に永瀬拓矢六段が挑む将棋のタイトル戦
「第87期棋聖戦五番勝負」最終第5局。勝利した羽生棋聖
=8月1日、新潟市西浦区の高島屋
羽生善治棋聖に永瀬拓矢六段が挑む将棋のタイトル戦 「第87期棋聖戦五番勝負」最終第5局。勝利した羽生棋聖 =8月1日、新潟市西浦区の高島屋
 一方で、羽生三冠は最強のコンピューターソフトと対決するプロ棋士代表を決める棋戦「叡王戦」への参加を表明したことでも話題になりました。叡王戦はエントリー制で、羽生三冠は昨年の第1回は不出場。今季も参加を見送るという見方が多く、エントリー表明は波紋を呼びました。現在叡王戦では予選を突破し、決勝トーナメントに進出しているだけに、将棋ファンの間ではソフトとの対決への期待感は高まっています。「羽生さんの気持ちの中に、複数タイトルを保持している状態でソフトと対決したいという意識があるのかもしれない」(古作氏)。

 棋聖戦第4局は羽生三冠が快勝してカド番をしのぎ、8月1日に決戦の最終局を迎えます。さらに初戦敗れた王位戦、9月からは王座戦と防衛戦が続き、その合間にもほかの棋戦と過密日程が続きます。大山康晴十五世名人は69歳で亡くなるまで将棋界トップのA級を維持し、56歳でタイトルを獲得、66歳でもタイトルに挑戦するなど超人的な活躍を残した棋士もいるだけに、今後羽生三冠が調子を立て直し、さらに伝説を残していくのか。ついに若手世代がタイトル戦線の主役となるのか注目されます。