岩田温(政治学者)

 周知のように日本共産党は「護憲政党」を標榜している。そして、自衛隊は違憲の存在だと位置づけている。その日本共産党が、民進党と選挙協力を進め「国民連合政府」を樹立しようと模索している。

会見する共産党の志位委員長=2月22日、東京都渋谷区の党本部
会見する共産党の志位委員長=2月22日、東京都渋谷区の党本部
 一体、日本共産党は、自衛隊を違憲の存在であると、その存在を否定し、非武装中立路線を貫くのか、さもなければ、自衛隊の解体までを求めるのか。多くの国民が疑問に思うところであろう。

 この問いに対する共産党の立場は奇妙極まりないものだ。2015年6月23日に日本外国特派員協会で共産党の志位委員長は、自衛隊に関する質問に関して次のように答えている。

 「安全保障の問題ですが、私たちは日米安保条約を廃棄するという展望を持っておりますが、そのときに自衛隊も一緒に解消する、という立場ではないんです。それは、安保条約の廃棄に賛成の方でも、自衛隊は必要だという、国民的な合意のレベルが違うということです。ですから、私たちは自衛隊は違憲の軍隊だと考えておりますが、これを一気になくすことはできません」

 「私たちが政権を担ったとして、その政権が憲法9条を活かした平和外交によって、アジアの国々とも世界の国々とも平和的な友好関係を築き、日本を取り巻く国際環境が平和的な成熟が出来て、国民みんなが"自衛隊は無くても 安全は大丈夫だ"という圧倒的多数の合意が熟したところで、9条の全面実施の手続きを行う、すなわち自衛隊の解消へ向かうというのが私たちの立場なんです」

 志位氏の主張はあきらかにおかしい。第一に、日米安保条約を廃棄することと自衛隊を解体することに関して国民的な合意のレベルが違うというが、本当だろうか。志位氏の主張に従えば、日米安保条約を敵視し、これを廃棄することに関する国民的な合意が形成されているかのようだが、これは実態と大きく異なる「虚構」の議論ではないだろうか。