平成26年度における内閣府の世論調査の結果をみれば、志位氏の主張が虚構に過ぎないことは明らかだ。内閣府の世論調査では、「日本は現在、アメリカと安全保障条約を結んでいるが、この日米安全保障条約は日本の平和と安全に役立っていると思うか」との質問に対して、「役立っている」とする者の割合が82.9%(「役立っている」38.5%+「どちらかといえば役立っている」44.4%)、「役立っていない」とする者の割合が11.5%(「どちらかといえば役立っていない」8.9%+「役立っていない」2.7%)となっている。 

駆け付け警護」の訓練を公開、国連職員に模した人物(青い帽子)を救出する自衛隊員=10月24日、岩手県内の陸上自衛隊岩手山演習場
駆け付け警護」の訓練を公開、国連職員に模した人物(青い帽子)を救出する自衛隊員=10月24日、岩手県内の陸上自衛隊岩手山演習場
 8割以上の国民が日米安保条約を日本の安全保障のために有益な条約だと考えているのが現状であるにもかかわらず、まるで、日米安保条約の廃棄に関する国民的合意が形成されているかのように語るのは、現実をみようとしない「反知性主義」的な議論か、極めて欺瞞的な議論かのいずれかだと言わざるを得ない。そして日本共産党の自衛隊に関する議論は噴飯物と言わざるを得ないレベルの、欺瞞的な議論だ。

 志位氏に従えば、「自衛隊は違憲の軍隊だと考えております」ということになる。しかし、自衛隊を支持する国民が圧倒的大多数である以上、「違憲の軍隊」である自衛隊を直ちには解散しないというのだ。

 これは、近代立憲主義を破壊することを宣言した恐ろしい台詞だ。立憲主義とは、行政府、すなわち政府の暴走を食い止めるために憲法を尊重する義務を行政府に課したものだ。この点では、「リベラル」の人々の主張と私の主張とに径庭はない。

 私自身は、共産党が主張するように自衛隊が違憲の可能性が高いと考えている。だからこそ、憲法を改正して違憲状態を放置するようなことがあってはならないと主張しているのだ。近代立憲主義を空洞化させないためにも、自衛隊の存在を憲法上に明記すべきだと考えている。

 歴代の自民党政権は、本来的には憲法改正を行うべきでありながら、国民が憲法改正、九条改正に反対する可能性を恐れ、非常に際どい、実質的には詐欺まがいの解釈改憲によって、自衛隊を「合憲」と位置づけてきた。こうした憲法に対する極端な解釈は、一人の政治学者としてみれば、許しがたい欺瞞以外の何でもないのだが、一人の国民としてみれば、現実的に日本を守るために致し方なかった選択であったのかとも思えなくもない。