つまり2007年以降からの「大停滞」を十分に脱していないまま、金融政策スタンスが引き締め傾向にあり、それがアメリカ経済のパフォーマンスを実力以下のままに低迷させているという指摘は根強いものがある。またたとえ回復傾向にあったとしてもすでにピークアウトであるという見方も同じように有力だ。これらの事実は、トランプ政権の金融政策に対する見解にも大きく影響しそうだ。「政治的」な利上げが年内に行われても、アメリカ経済の経済指標の低迷や、制度改革などの政治的圧力などを受けて継続的な利上げにはつながらないのではないか。
官邸に入る安倍晋三首相=11月9日午前、首相官邸(斎藤良雄撮影)
官邸に入る安倍晋三首相=11月9日午前、首相官邸(斎藤良雄撮影)
 日本経済をみてみると、「リフレ派は敗北した」などという悪質なデマが、アベノミクスを批判したがるマスコミでもてはやされている。しかし雇用状況をみれば、ほぼ20年ぶりの改善が継続中だ。雇用が改善し続ければ、もちろん経済成長率も上昇していく。また最新の統計でも明らかなように、雇用が改善すれば、その帰結として経済格差が縮小し、また相対的な貧困率も改善していくだろう。

 問題はこの流れを止めてはいけないことだ。(経済にとってはそれがすべてであると言っても過言ではない)雇用状況の改善を異常なほど無視する勢力が、マスコミだけではなく、論壇やもちろん政治勢力にも存在している。特に銀行や国債市場関係者には、根強いアベノミクス批判勢力が存在している。その「金融マフィア」的な勢力にとっては、日本銀行のマイナス金利や国債の一層の買い取り増加は、自らの収益モデルを破壊するものと映るのだろう。だが、一部の「金融マフィア」の強欲的な姿勢に配慮して、国民経済をなおざりにしてはいけない。

 トランプ・ショックはしばらく続くだろう。だが、問題は海外ではなく国内にある。より一層の金融緩和、財政政策の拡大を行い、さらに完全雇用、賃金上昇を目指して政府と日銀は協力すべき時だ。