米国はシェールガスの開発が進んだことから、すでにサウジアラビアを抜いて世界最大の石油産出国となっている。数字の上では米国はすべてのエネルギー源を自国で賄うことができる。また米国は、継続的に人口が増加する数少ない先進国であり、このトレンドはしばらくの間、継続する可能性が高い。
シェールガスの採掘=米ペンシルベニア州
シェールガスの採掘=米ペンシルベニア州
 客観的に見た場合、現在の米国は世界でもっとも多くの富を持ち、すべてのエネルギーを自給できる国ということになる。しかも人口は年々増加を続け、優れたテクノロジーまで保有している。

 経済学の理論では、経済成長の水準は資本投入、労働投入、テクノロジーの3要素で決まるとされており、米国はそのすべてにおいて突出した環境にある。米国は基本的に他国に一切頼らずに国家を運営できるのだ。 

 米国が世界の警察官として国際問題に積極的に関与するようになったのは第二次大戦後のごくわずかな期間だけである。モンロー主義(第5代大統領モンローが提唱した欧州との相互不干渉政策)に象徴されるように、元来、米国は引きこもりの国であり、国際問題に対する関心は極めて低い。

 そんな米国がグローバル社会に積極的に関与するようになったのは、大国としての野心が出てきたという側面はあるものの、石油の影響が大きいことは明白である。逆にいえば、中東の石油に頼る必要がなくなった今、米国が中東にコミットする必然性はまったくない。

 米国民は現状の政治に対して怒っているといわれているが、その根底には、これだけ有利な条件が揃っているのに、なぜ多くの国民がその利益を享受できないのかという不満がある。過激で非常識な発言にもかかわらずトランプ氏に対して強い支持が集まったり、オバマ政権が不評といわれながらも2期8年の任期をまっとうできたのは、こうした米国の状況に対して両氏のスタンスが整合的だったからである。

 オバマ氏は議会や一部世論からの強い圧力があったにもかかわらず中東問題への無関心を貫き、日米関係についても冷淡な態度を取り続けた。オバマ氏とトランプ氏は正反対の存在に見えるが、自国中心主義的という点では共通点が多いのだ。