サヨクウオッチャー 中宮崇(なかみや・たかし)

「朝日が捏造して何が悪い!」

 【アホの古舘】報道ステーション慰安婦特集反省会「朝日新聞は関係ない、日本は性奴隷20万人に謝罪を」

 その日、ネット掲示板2ちゃんねるには、こんなトピックが立てられた。

「要約 吉田証言は河野談話にもクマラスマミ報告にも影響を与えていない/強制的に連行したかどうかはもはや問題では無い。家に帰りたい女性を慰安所に管理していた事が問題だ/日本は20万人の慰安婦を管理し、殺戮した事をしっかりと受け止めて、韓国と仲良くしよう/これがTV朝日の結論です/酷すぎ」

 まぁそういう番組であった。ネット民を大いに憤慨させたのも当然だろう。

 報道ステーション(以下「報ステ」)である。ことの詳細について、「『吉田証言はでたらめだった』テレ朝・報道ステーションが朝日新聞報道を検証」と題する産経の報道を引用してみよう。

  《テレビ朝日系「報道ステーション」は(9月)11日、朝日新聞の謝罪会見を受け、吉田証言や慰安婦問題に関する朝日新聞の報道について検証した。番組の中では、同局が平成3~5年の報道番組などで「慰安婦の強制連行」を証言した吉田清治氏を計5回、取り上げたことも明らかにした。キャスターの古舘伊知郎氏は「吉田証言はでたらめだったということが明確になった」と述べた。

 番組では朝日の訂正内容を伝えたうえで、吉田証言が国内外に与えた影響を約40分にわたって特集。石原信雄元官房副長官や韓国外務省元幹部らへのインタビューを通じ、河野談話の成立過程や国連報告書(クマラスワミ報告)の内容などを伝えた。

 古舘氏は特集終盤で「クマラスワミ報告に吉田証言が盛り込まれている事実はある。日本国内や韓国、国際社会への影響があった点を考えると、朝日新聞がもっと説明し、きちっと謝ることが大事だ」と述べた(以下略)》(14年9月12日)

 武士の情けなのか、この産経新聞の記事は、報ステの姿勢に対して実に慈悲深い。そもそも、朝日新聞が慰安婦問題における吉田清治証言を虚偽であり記事は誤報であるとの訂正が8月5日の朝刊に掲載されてから9月11日に報ステがこの特集を放送するまで、実に37日が経過している。その間、各メディアが朝日の責任を厳しく追求する中で、報ステはこの大事件についてただの一言も視聴者に報じてこなかった。司会の古舘伊知郎は、この隠蔽や情報操作と言われてもやむを得ない呆れた番組の姿勢について、その意思決定者についても責任についてもひと言もなかった。古舘は、「『なぜお前は報道しない』と毎日頂きました。毎日取材を続けていました」と、プロの報道関係者とも思えぬまるで幼稚園児のような言い訳だけでお茶を濁し、追求逃れを図ったのである。

 テレビ朝日が、報道機関にあるまじきプロパガンダ団体にすぎないことは1993年、テレ朝報道局長椿貞良が「なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と発言した「椿事件」ですでに明らかだ。報ステの特集に呆れるというのも今更感はある。ジブリアニメ「天空の城ラピュタ」の登場人物である海賊のドーラに「当たり前さね。海賊が財宝を狙ってどこが悪い!」という名言があるが、さしずめ「当たり前さね。朝日が捏造してどこが悪い!」というところだ。

 報ステが過去、「捏造」や「偏向」との批判を受けたことはまさに数知れない。07年9月29日に沖縄県宜野湾市で開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」で、実際の参加者数を数倍に水増しし「11万人が参加」と報じ批判を受けた際には、10月4日に古舘自ら「仮に2万人だったとして、なにがいけないんですかねぇ」と、反日のためなら嘘をついてもかまわぬとのまるで支那や北朝鮮そのままの恐ろしい本音を吐露している。

 そもそも、この日「朝日新聞社長が謝罪会見 原発特ダネ記事を取り消し」とのトップニュースから始まった報ステは、朝日新聞の「ガキの使い」とでも言わざるをえない程度の杜撰なシロモノであった。社長の責任問題について古舘は「社長自身に関しては会社内の改革を終えた後に進退を決めるという〝ニュアンス〟を発表」などという戯言が登場する始末。社長への批判など一切なく、新聞社のトップとして責任をどう取るのかどうかの重大事を「ニュアンス」などという曖昧模糊とした言葉でごまかし、それを〝発表〟ともっともらしく取り繕う。とてもではないがニュース原稿とは言えない。2万人の参加者を11万人に水増ししたニュースも「ニュアンス」として垂れ流しただけだったのかもしれない。

 08年、報ステの番組関係者が逮捕された際には、同年8月14日の放送で河野明子アナが「東京都内のテレビ番組制作会社の社員らが、社内で大麻を譲り渡しているなどとして逮捕されていた事が分かりました」と、身内が犯人であることを隠蔽して他人事のような態度を貫き通したことさえあった。政府や企業などの他人に対しては異常に厳しく雪印に至っては廃業にまで追い込みながら、自分や身内には甘いという卑劣な体質は、今に始まったことではないのだ。

 大体、世間では「あの朝日新聞が、さらにはあの報道ステーションが謝罪した!」と驚く向きもあるようだが、事実は謝罪からは程遠い。報ステの「謝罪」にしても、朝日新聞の「訂正が遅きに失したことについて読者のみなさまにおわび申し上げます」との謝罪文を紹介した程度にすぎない。旧日本兵を強姦魔扱いし、旧日本軍を女衒か置屋であるかのようなプロパガンダを行ったことも、それによって日本人全体の名誉を傷つけ日韓関係を毀損したことにも、なんら謝罪していないのだ。

 それどころか、特集中では、いわゆる国連人権委員会の「クマラスワミ報告」(1996年)で知られるスリランカ人の特別報告官ラディカ・クマラスワミにインタビューを行い、彼女のこんな主張を紹介しているのだ。

 「吉田証言はほんの一つの証言にすぎません。独自に行った聞き取り調査などに基づき、慰安婦には逃げる自由がなく性奴隷と定義したのは妥当。報告書の修正は必要ありません」

 つまり、朝日新聞の誤報など大したことではない、日本人が強姦魔だったという「事実」には何の変わりもないというわけだ。

悪質! 印象操作を暴く

 このような、「ニュアンス」だけで日本を悪魔化し謝罪とも言えない言い訳とごまかしに終始した番組づくりについては多くの批判が出ている。「報ステ・古舘氏の『慰安婦検証報道』批判 論調は朝日が検証記事で主張した中身と同じ」と題した9月12日付のJ‐CASTニュース(ニュースサイト)でも、「番組の論調は、朝日が検証記事などで主張していた通りになっていた。番組では、強制連行があったとまでは言えないものの、広義の意味における慰安婦への強制性はあったということを繰り返し紹介していたのだ。古舘氏は、強制性があったとする河野談話を擁護する立場も明確に宣言しており、これに対し、ネット上では、慰安婦問題はどの国でもあったのになぜ日本だけが悪いということになるのか、などと疑問が出ている」と批判的に報じている。
慰安婦問題を取り上げた朝日新聞の記事(手前が昭和58年10月19日付、奥が同年12月24日付) 

 報ステの謝罪や反省とは無縁な卑劣さは、古舘の「私としても、番組としても、元官房副長官である石原信雄さんの証言は非常に重いという立場を取っております。従って、強制的あるいは強制性と表現できる様々なことがあったという立場を取っております」という発言からも明らかだ。

 特集中、「性奴隷」の「強制連行」を事実であると認定したクマラスワミ報告についてクマラスワミ本人の弁明を紹介しその正当化に加担したばかりか、その直後に93年のいわゆる「河野談話」作成に携わった石原のインタビューを持ってきて「最終的には慰安所の運営につきまして深く政府が関わっておったと、それから慰安婦とされた人たちの輸送とかについても政府が関わったと。輸送について安全を図ってほしいとかあるいは慰安所の運営について衛生管理あるいは治安の維持をしっかり頼むという趣旨の文書は出てきたわけですね」との石原の発言を取り上げた。そこに古舘は「強制性があった」と強弁したのだ。あたかも石原が吉田証言そのままの「性奴隷」の「強制連行」を認めて河野談話を作成したかのように視聴者を混乱させようと意図していたような番組構成だ。そればかりかわざわざテロップで、河野談話当時の政府関係者の「河野談話の焦点は〝日本軍が強制連行したかどうか〟ではなかった」との発言を強調した直後、「女性たちが〝意に反して集められたかどうか〟が焦点」と表示した。どのように「意に反して集められたか」については何ら証拠を紹介することなく、あたかも「意に反して日本政府や軍が性奴隷を奴隷狩りのように狩り集めた」と視聴者が勘違いするように仕向けていたのである。

 問題はまだある。韓国ソウルの日本大使館前で毎週水曜日に行われている韓国挺身隊問題対策協議会(以下、挺身協)によるデモを紹介し、挺身協の元代表で慰安婦問題を作り上げた責任者である尹貞玉(ユン・ジョンオク)にインタビュー映像で「吉田氏の著作は読んだし会ったこともあるわ」と語らせた直後、「91年に初めて名乗りでた元慰安婦金学順さん」の映像を流し、さらにインタビュアーの「吉田さんの本が出たことによって慰安婦の方が名乗り出やすくなったか」との質問に、尹が「それは違うと思います」と答えるやりとりを放映したのだ。吉田証言と韓国の慰安婦問題への受け止めはまったく別ものだと視聴者に印象付けるイメージ操作である。吉田の著作は92年7月に韓国政府が公表した慰安婦の実態調査報告書にまで引用されている。吉田証言は韓国の対日非難・攻撃の材料だったのである。この悪質さは、北朝鮮のテレビ番組と見まごうばかりだ。

 特集の最後を、朝日新聞論説委員恵村順一郎はこう締めくくった。「朝日新聞の慰安婦報道に誤りがあり、それを長く正してこなかったことについて、私自身もお詫びしなければならないと思っています。同時に、目を背けてはならないことがあると思っています。それは、慰安婦の問題というのは消すことのできない、歴史の事実であるということです。旧日本軍の管理の下で、自由を奪われ、人権や尊厳を踏みにじられた女性がいたことは確かなことなんです」

 真摯を装い、会社(朝日新聞)を擁護する。こんな醜悪な言い逃れを真に受ける者は、もはやおられまい。報道ステーション、いや、テレビ朝日に羞恥心だけでも残っているのであれば、「報道」の看板を自ら下ろし、「妄動ステーション」とか「騒動ステーション」とでも改名してはいかがであろうか。