藤江直人(ノンフィクションライター) 

 日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督のひと言が、大きな波紋を呼んでいる。

 「本田は試合のリズムが足りないのが確認できた」

サッカーキリンチャレンジ杯日本対オマーン。
試合後、会見に臨むハリルホジッチ監督
=11月11日、県立カシマサッカースタジアム
サッカーキリンチャレンジ杯 オマーン戦後、会見に臨む
ハリルホジッチ監督
=11月11日、県立カシマサッカースタジアム


 オマーン代表を茨城県立カシマサッカースタジアムに迎えた11日の国際親善試合。4‐0で快勝した余韻の残る記者会見で、指揮官は先発で起用し、後半16分までプレーさせたFW本田圭佑(ACミラン)に対して、昨年3月の就任以来で初めて厳しい言葉を投げかけた。

 「かなりの経験があり、ずっと存在感を出してきたが……サウジアラビア戦がこれから控えているが、一番いいパフォーマンスの選手が誰なのかは、これから確認していかないといけない」

 これを受けて一夜明けたスポーツ紙を中心とするメディアは、サウジアラビア代表を埼玉スタジアムに迎える15日のワールドカップ・アジア最終予選第5戦における「本田外し」を大々的に報じた。

 そして、時間の経過とともに、図らずも流れは大きくなっていく。サウジアラビア戦前日には本田が主戦場としてきた3トップの右に、スピードスターの異名をもつFW浅野拓磨(シュツットガルト)が先発することがほぼ確実な状況として伝えられている。

 本田が日本代表の大黒柱に定着したのは、2010年6月のワールドカップ・南アフリカ大会の直前だった。精彩を欠いていた司令塔・中村俊輔(横浜F・マリノス)をベンチへ退けさせ、本職ではない1トップで全4試合に先発出場。2ゴールをあげて、日本がベスト16へ進出する原動力になった。

 あれから6年あまり。当時24歳だった本田は、今年の6月で30歳とベテランの領域に足を踏み込んだ。どんなスーパースターでも、必ず母国の代表チームに別れを告げる瞬間が訪れる。黄金の左足で一時代を築いた中村は、南アフリカ大会直後に「代表引退」を表明していま現在に至っている。

 結果として中村に引導を渡した形となった本田の目の前に、サッカー人生で最大のターニングポイントが訪れているのか。ハリルジャパンの「未来」に必要か否かを論じる前に、いま現在の本田がなぜ精彩を欠いているのかを確認しておきたい。すべては所属するミランを取り巻くチーム状況に帰結している。