河治良幸(サッカージャーナリスト)

 「スターとはチームがスターである」

 昨年3月の就任会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は代表チームにおいてポジションが約束された選手はいないことを宣言した。チームのベースを作る上でザックジャパン、アギーレジャパンの主力を担ってきた本田圭佑も例外であるべきではない。

 本田圭佑はハリルジャパンにおいても9月3日のUAE戦までW杯予選で7試合連続ゴールを決めるなど、代表における結果で存在価値を示してきたが、ミランでの出場機会をほとんど得られない中で、パフォーマンスが落ちてきていることも確かだ。

W杯予選に出場するために帰国した本田圭佑=10月4日、成田空港
W杯予選に出場するために帰国した本田圭佑=10月4日、成田空港
 1トップで先発した先月のオーストラリア戦は原口元気の先制ゴールをアシストし、守備面やカウンターの起点としてチームに貢献したが、競り合いの着地の際に足首をひねり、復帰直後の練習は別メニューに。10月16日のキエーボ戦は出場なしに終わった。

 翌週のジェノア戦では今季初先発のチャンスを得たが、失点につながるミスなど低いパフォーマンスに終わり、現地メディアにも酷評された。その後の2試合で本田の出場はなく、チームも連勝を飾ったことで、ミランでの立場はますます厳しいものになっている。

 ビジネス面での活動などがプレーの妨げになっているという声もあるが、筆者としては大きく影響していないと考えるし、実際に世界のトップ選手の多くはサイドビジネスを展開しているからだ。ただ、結果を出していないとプロのサッカー選手として風当たりが強くなる要因になってしまうことも確かだ。

 「(オマーンは)あまりプレー機会の少ない選手にもチャンスを与えたい。もしくは海外で試合に出られていない選手」

 そう語ったハリルホジッチ監督は従来通り右ウィングに本田を起用した。戦前に「色々と試したい」と言っていた本田はベンチスタートの長谷部誠に代わりキャプテンマークを巻いて登場。中央寄りでトップ下の清武らと近めの距離を取りながら、1タッチとボールキープを使い分けて攻撃に絡んだ。

 ボールタッチなどの感触に加え、本田が特に意識したのは周囲をサポートする位置だ。速い攻撃の中でも単調にならない様に近い位置で周りに絡んでいこうというビジョンはプレーから見えた。大迫による2つの得点も本田の存在あればこそ生まれたものだ、ただ、全体としてプレーが効果的だったかどうかは難しいところ。本田が1クッション絡むことで、攻撃のダイナミズムが失われる向きもある。