また純粋に試合感の問題からか、ボールタッチが精度を欠き、背負った相手にボールをかき出されてしまうなど、良い状態の本田とはかけ離れたプレーも目に付いた。本田なりに日本がより得点率を上げるために構築して行くべきことのビジョンはあるのだろう。問題の1つはそれがハリルホジッチ監督のスタイルでどれだけ効果的なのか。そして本田自身のビジョンに実際のプレーが追い付いているのか。2つの面から本田の存在意義は問われている。

 「キーとなる選手でも、交代で出る選手のパフォーマンスの方が高ければ私はその選手を使う。それに関してはまったく問題を抱えていない」

 そう語るハリルホジッチ監督が「(オマーン戦で)試合のリズムが足りないのが確認できた」と評価する本田をサウジアラビア戦でスタメンから外すかどうかは1つの注目点になるが、これが普通の選手なら一度ぐらいスタメンから外しても、次の試合に向けてアピールすれば良い意味での競争になるとポジティブに受け取ることもできる。

W杯アジア2次予選日本対アフガニスタン。ベンチの本田圭佑(右)ら=3月24日、埼玉スタジアム2002
W杯アジア2次予選日本対アフガニスタン。ベンチの本田圭佑(右)ら=3月24日、埼玉スタジアム2002
 それは日本代表で豊富な経験と実績を持つ岡崎慎司や代表でずっと厳しい目にさらされてきた香川真司ですら、その例外ではない。ただ、本田の場合はチーム作りにおける影響力に加え、発言力も強いために1つ1つの言動が大きく取りざたされ、記事などの見出しになりやすいという性質もある。

 オマーン戦では61分に本田との交代で出場した浅野拓磨が鋭い飛び出しでPKを獲得するなど、本田と異なる持ち味でアピールした。ハリルホジッチ監督は就任時から「日本の選手はディフェンスの裏への意識が足りない」と言い続けてきたが、そうした要求に明確な回答を示す様なプレーだった。

 もちろん、そうした裏への意識だけで攻撃が成り立つわけではないが、テンポ良く縦にスピードアップしていくスタイルをベースに、状況や相手に応じてアクセントを加えていくというのが現在のチームの基本的な考え方であり、そこに良い意味でアレンジは加えても、反してしまえばチーム作りとしては逆効果になりかねない。

 チームのベースを作って行く段階において本田が重要な働きをしてきたことは間違いない。ただ、オマーン戦で本田なりの感触なり手応えなりを得たものが指揮官にとって「試合のリズムが足りない」要因なのだとすれば、コンディションに関わらず今後の起用法に大きく影響を与える可能性がある。