また、サムスンだけでなく、韓国を支えるもう一つの軸である現代自動車も業績が急激に悪化している。こちらも国内でオイル漏れの「リコール隠し」が発覚し、米国でも「シーター2エンジン」欠陥をめぐる集団訴訟に敗訴。損害賠償は少なくとも1000億円程度になるとみられている。また、燃費のごまかし問題も米国で発覚し、和解金を支払わされている。これは韓国国内でも問題視されており、米国同様の訴訟に発展する可能性が指摘されている。

 そして、現代自動車を悩ますもう一つの大きな問題が労働組合である。一般的に韓国の労働組合は組織として強く、経営側に対しても強硬な対応を取ることで知られる。特に資本力のある財閥系や自動車鉄鋼関係はその傾向が強く、「強すぎる組合」が企業を破綻に追い込んだ例も散見される。

 現代自動車労組は、今年に入り24回のストを行い、9月には全面ストまで行った。その結果、9月の自動車出荷台数は前年比20%マイナスになっており、7~9月期連結決算では、営業利益が前年同期比29%減の1兆680億ウォン(約960億円)にまで落ち込んでしまった。こちらも黒字ではあるが、中長期的な影響が懸念されている。

日韓財務対話を終え、笑顔で言葉を交わす麻生太郎副総理兼財務相(左)と韓国の柳一鎬・経済副首相兼企画財政相=8月27日、ソウル
日韓財務対話を終え、笑顔で言葉を交わす麻生太郎副総理兼財務相(左)
と韓国の柳一鎬・経済副首相兼企画財政相=8月27日、ソウル
 また、先日破綻した韓進海運の物流延滞の影響が他の輸出企業にも出始めており、違約金が必要になる企業や販売機会を逃した企業も出始めている。また、海運では現代商船も事実上の破綻状態にあり、国からの支援でなんとか経営を維持している状態にある。韓進に続き現代商船も破綻すれば、韓国の国際物流は壊滅的状況になる。そして、表裏一体にある造船会社も、大手はほぼ全てが過去のダンピング受注と納期遅れの違約金で売上よりも赤字額が大きい状態にあり、実質破綻状況にある。

 もし、これらが破綻した場合、支援している国策銀行の行方も危ぶまれている。輸出入、産業、企業銀行がこれらの企業の株主や債権者になっているわけだが、破綻処理の過程で、国策銀行そのものが資本不足に陥る懸念が大きい。そして、造船大手の大宇造船は産業再生状態にあり、いつ破綻してもおかしくない状態なのである。ここが破綻した場合、産業銀行と輸出入銀行を「道連れ」にする可能性まで指摘されている。 

 また、国策銀行には政府の保証がついており、国策銀行の破綻が韓国政府の財政危機を悪化させるのは間違いなく、東アジア通貨危機の再燃が懸念されている。韓国政府が日本とのスワップを強く求めた背景にはこうした問題があったとされ、日本企業への影響や他のアジア諸国への波及なども考慮し、日本政府はこれを認めたと言われている。