渡邉哲也(経済評論家)

 米国大統領選挙は、私がフジサンケイビジネスアイに寄稿した「【高論卓説】米メディアの選挙ビジネス 批判逆手に存在感、トランプ氏が全否定」の予想通りの結果に終わった。ほぼすべてのメディアがヒラリー優勢という情報を流す中、結果的にトランプが勝利したわけだ。また、その理由に関しては、9月末にiRONNAに寄稿した「米左翼メディアが垂れ流すトランプの「ネガキャン」に騙されるな」ですでに解説済みだ。

 記事で確認できると思うが、今回の大統領選挙、私の「予想シナリオ通り」に進んだのではないだろうか? いまだにトランプへのネガティブキャンペーンを続け、必死に言い訳を考え自己正当化しているメディアが多数見受けられるが見苦しい限りであるといえる。

米大統領選でのトランプ氏の予想外の勝利を伝える
ニューヨーク証券取引所内のテレビ=11月9日
米大統領選でのトランプ氏の予想外の勝利を伝える ニューヨーク証券取引所内のテレビ=11月9日
 歴史に「もし」はなく、過去は変えられないのである。必死にトランプ批判を繰り広げたところでトランプが次期大統領になるのは事実であり、確定項でしかない。また、他国の国民が選んだ次期大統領に対して、評論を超える人格批判をするのは間違っていると私は思う。それは米国人への侮辱行為でもあるわけだ。

 では、何故、そこまで批判に固執するのか考えてみたい。このような場合、「相手の立場で考える」これが思考の基本になる。彼らがそこまで批判に固執するには彼らなりの理由があるからであり、それが「不都合な事実」であるからに違いないからである。

 私が考えるに、一番の理由は自分たちの選挙予測や世論調査が外れたことであると思う。事実を必死に批判することで、自己を正当化し、その事実から目を背けたいことのあらわれだ。同時に、これが日本にも波及することをおそれているのであろう。

 今回の選挙戦では、全米の大手紙100社の内、ヒラリー支持が57社 トランプ支持は2社であったと報じられている。(11月7日 NHK)つまり、レガシーメディアの神通力は世論を動かせなかったわけである。そして、今回の選挙結果は「メディア世論」と「大衆世論」の乖離を印象づけるものであったわけである。