渡瀬裕哉(早稲田大学招聘研究員)

 米国の大統領選挙に関して日本人は当然投票権を持っているわけではありません。しかし、多くの人が米国大統領選挙に関心を持っていたことも事実です。そして、大半の人がヒラリー勝利を確信していたものと思います。

 実際にはヒラリー勝利は「米国メディアがそう報じたこと」以外はほとんど無根拠な予測でしかなく、トランプ氏がヒラリーを破ったことで皆が幻想を見せられていたことが分かりました。このことについて筆者は散々論じてきたので今回は割愛します。興味ある人はこちらまで。(なぜ有識者は「トランプ当選」を外し続けたのか?

 今回、筆者が伝えたいことは、巨大なメディアを有している国のソフトパワーについてです。

 ソフトパワーは元々ジョセフ・ナイ(クリントン大統領時代のブレーン・知日派)によって提唱された通貨、文化、その他諸々多様な要素を含む国力の新しい概念でした。そして、この概念はグローバル社会におけるハードパワー(軍事力)に匹敵する力として様々な批判を浴びながらも定着したものになっていると思います。

 今回、米国大統領選挙に関する日本の様子を見ていて、筆者が感じたことは「この国は簡単に米国のプロパガンダにやられる、ソフトパワーとしては三流国なのだ」ということです。

 日本のメディアは米国の報道を垂れ流し続けて何の疑問もなく、そして国内からもほとんど報道内容がおかしいという検証もなされないわけです。ヒラリー万歳報道に散々騙された挙句、更に米国メディアの「かくれトランプ支持者」なる言い訳報道を何の検証もなく鵜呑みにしているわけです。オレオレ詐欺が無くならないわけだとしみじみします。

 まさに文化的・メディア的な植民地状態を露呈した有り様であり、米国のメディアが持つ影響力は日本にとって非常に脅威だと感じました。

米国エスタブリッシュメントの代弁者


 さらに、単純に日本のメディアが米国メディアの丸写しであるというだけでなく、そこに登場する有識者の大半も米国エスタブリッシュメントの代弁者に善意によって自然となってしまう構造があります。
ハーバード大学
ハーバード大学
 それらの有識者とされる人々は官僚・学者・メディアの人間ですが、彼らは米国滞在中に大学・メディア・役人などの極めてリベラルな人たちと接触する機会を多く持つことになります。

 そして、日本人は米国政治における基礎的な政治教育を受けることないので、先方のエリート大学などに留学して教育を受けてすっかりリベラルに染め上げられてしまいます。更に、ハーバードをはじめとした米国のエリート大学の中でエスタブリッシュメントとの人間関係が出来上がります。