【大前研一氏が米国の今後を分析】


 アメリカ大統領選挙の事前予想のほとんどは、苦戦はしても結局、ヒラリー・クリントン氏が勝利するだろうというものだった。ところが、接戦をものにしたのはドナルド・トランプ氏だった。この結果によって米国で進む「分断」について、経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

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 アメリカ大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利し、「トランプ・ショック」が世界に走った。イギリスのEU離脱(ブレグジット)に続いてアメリカも「内向き」「保護主義」になり、「反グローバリズムに突き進む」という報道が相次いでいる。
米ニューヨークで9日、大統領選で当選が決まり演説するトランプ氏(ロイター)
米ニューヨークで9日、大統領選で当選が決まり演説するトランプ氏(ロイター)
 たしかに、トランプ氏が掲げている「アメリカ第一主義」(America First=アメリカの利益最優先)は、19世紀前半のモンロー主義の時代から繰り返されてきたアメリカ孤立主義の“伝統”だ。

 そしてトランプ氏は、その伝統的な白人保守層が優勢な内陸部のエリア、いわば“内陸合衆国(United States of Inland)”の支持を得て、様々な人種・民族で構成されているリベラルな東海岸と西海岸のエリア、いわば“沿岸合衆国(United States of Coastal)”を牙城とする民主党のヒラリー・クリントン氏に勝利した。

 しかし、アメリカの人口動態を見れば、この先、黒人、ヒスパニック、中国系、インド系、旧ソ連・東欧系などの人口が増えて白人の人口は減る一方だから、おそらく今回の大統領選は“内陸合衆国”が“沿岸合衆国”に勝てる最後のチャンスだった。