篠原常一郎(元日本共産党国会議員秘書)

 Q1 共産主義では全ての人が平等というタテマエですよね。共産党は「天皇」の存在をどう考えているのでしょうか 

 A1 日本共産党は戦前、コミンテルンの指導下に決めた基本方針(27年テーゼ、32年テーゼ)で皇室をいただいた日本の国体を「絶対主義的天皇制」と規定して「革命で打倒する」対象にしていました。結果、日本共産党は治安維持法による取締り・弾圧を受けたのです。

 共産主義の理念「万人の平等」を根拠に天皇制に反対したのではなく、「日本帝国主義の支配構造は、軍の統帥権を握り絶対主義的な権力を持った天皇と軍部、従属的に追随する大財閥・独占企業からなる」として「支配体制の要=天皇」を打倒対象としました。「君臨すれども統治せず」が天皇の歴史的実態だったのですから、この見方の誤りは明瞭ですね。

 戦後、日本共産党が「天皇制の打倒」を主張したことは意外なことに一度もありません。1980年代半ば以降、当時の党トップだった宮本顕治委員長が「第9条などの平和条項だけではなく象徴天皇に関する条項を含め現憲法を全面的に擁護する」という立場を明らかにし、今日に至っています。

 今後も共産党が護憲スタンスをガラリと変えて「天皇制打倒」に回帰することは無いでしょう。たちどころに国民の支持を失いますからね。

 Q2 共産党は自衛隊を「違憲」と考えているのですか 

 A2 かつて共産党は「国の独立と主権を守る上で(旧社会党の)『非武装中立論』は無責任」としていました。「対米従属・違憲の自衛隊は解散して自主的な防衛力を持つ」立場だったのです。これが1970年代に公明党から「共産党は仮面をかぶった改憲政党だ」と非難され、その反動からか80年代には護憲色を強めます。最近、志位和夫委員長は自衛隊を「憲法違反の存在」としつつ、「急迫不正の侵略を受けたら、自衛隊を活用するのは当たり前」と述べています。さらに「戦争(安保)法制反対・廃止」の野党共闘の旗を振るようになると「当面、現行の日米安保体制を容認」とまで表明したのです。志位委員長が失脚でもしない限り、この方向は変わらないでしょう。
南スーダン国連平和維持活動(PKO)参加のため首都ジュバの空港に到着した陸上自衛隊11次隊の先発隊
南スーダン国連平和維持活動(PKO)参加のため首都ジュバの空港に到着した陸上自衛隊11次隊の先発隊
 Q3 共産党は暴力革命を目指しているのですか 

 A3 たしかに戦前の日本共産党は「絶対主義的天皇制」を打倒するために「対外戦争を内戦へ」と主張する暴力革命路線でした。戦後も朝鮮戦争期に日米当局側が強行したレッドパージで非合法化された時、ソ連や中国からの指示に従って党主流派は「武力闘争」を準備。中国革命ばりに農村部に根拠地を作るとする「山村工作隊」の活動やお粗末な火炎ビン闘争を展開しました。

 しかし今日では党員の高齢化、「平和運動」に長年傾倒してきたことによる党内の「戦争ぎらい」蔓延で、暴力革命党なんて全く受け入れられない素地ができています。共産党がかつて掲げた「敵の出方論」とは、「情勢によっては権力(政府)側が暴力的に革新勢力に対抗してくることもある」という警戒心喚起で、「党の事務所に武器を隠しておけ」なんて方針ではないですよ。選挙と「赤旗」拡張中心の党活動にどっぷり浸かった上、お年寄りが圧倒的に多い共産党が暴力革命なんて、心理的にも物理的にも不可能です。