小森榮(弁護士)

 9月12日、ASKAさんの覚せい剤事件の判決公判で、東京地裁は、懲役3年執行猶予4年(求刑懲役3年)を言い渡しました。起訴状によると、被告人は覚せい剤と合成麻薬MDMAを使用。また、目黒区内の自宅で覚せい剤0.432グラムと合成麻薬MDMAなどの錠剤計約26グラムを所持したとされています。

懲役3年の意味


 そもそも、先に行われた第1回公判で検察官は、懲役3年を求刑していました。それに対しては、初犯の末端乱用者としては重いという意見が聞かれました。
2014年8月28日、罪状認否で起訴内容を認めたASKA被告=東京地裁(イラスト・井田智康)
2014年8月28日、罪状認否で起訴内容を認めたASKA被告=東京地裁(イラスト・井田智康)
 しかし、薬物事件では、求刑においても、判決においても、刑を決める最も重要な要素は薬物の量で、多量を所持しているほど刑事責任は重いと判断されます。薬物の量が多ければ、社会に及ぼす危害が大きくなるので、制裁も厳しいものになるわけです。

 よく、覚せい剤事件では、初犯は懲役1年6か月といわれますが、それは末端乱用者の事件では、所持量が1グラム内外のケースが多いからです。

 この事件では、被告人が自宅で所持した覚せい剤は約0.4グラムと、末端乱用者の所持量としては多いとまではいえない量ですが、問題はMDMAの量が約26グラムと極めて多量だという点です。MDMA錠剤は、平均的な1錠が0.3グラムといわれますから、被告人の所持した錠剤の数は80~90錠くらいでしょうか。検察官の論告では、被告人の使い方(1回当り1錠半)で約60回分とされていたと記憶しています。

 密売人の所持量に匹敵するほどのMDMAを所持していた被告人に対して、その所持量に相応した、重い刑が言い渡されたということになります。

 ちなみに、覚せい剤所持の法定刑はMDMA(通常麻薬)所持よりも重いので、覚せい剤でしたら、所持量が10グラム程度でも、懲役3年の求刑・判決ということもあります。