執行猶予4年の意味


 今回の判決は「懲役3年、執行猶予4年」だったと報じられています。被告人は3年の懲役刑を宣告されたのですが、現実に刑事施設に収容することが猶予され、社会内での更生の機会を与えられたのです。執行猶予期間は4年間、この期間を無事に満了すれば、刑の宣告そのものが効力を失い、有罪判決を受けなかった状態に戻ることになります。ただし、猶予期間中に有罪判決を受けるなどして、執行猶予を取り消されれば、猶予されていた宣告刑を現実に受けなければなりません。

 執行猶予は、前科がない者などについて、3年以下の懲役、禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡すときに付けることができます(刑法25条1項)。営利目的のない薬物事件では、初犯者の多くが3年以下の懲役刑が求刑されるので、被告人にとっては、執行猶予が付くかどうかが重大な関心事になります。

 執行猶予は「情状により」付されるものとされていて(刑法25条1項)、被告人に対して執行猶予を言い渡すかどうかの判断は裁判所に委ねられています。刑事裁判で言う情状とは、量刑判断にあたって斟酌される事情のことで、被告人の性格や境遇、犯行の動機や態様などとともに、犯行後の状況も重要な要素とされています。

 一般に、被害弁償などによって犯罪被害の回復に努めたことは、被告人にとって有利な情状として評価されますが、薬物事件のように直接の被害者がない犯罪では、被告人に再犯のおそれがないことが、とくに重要な情状となります。

 さて、実際の公判では、ほとんどの被告人が真剣な表情で反省の言葉を述べ、「もう二度と薬物にかかわりません」と誓いますが、これだけでは再犯のおそれがなくなったとはいえないでしょう。

 生活態度、交友関係、時間の使い方・・・いろんなことを変えないといけないのです。なぜ薬物を使ってきたのか、なぜやめられなかったのか、これまでの自分に欠けていたことを直視し、生活を変えてこそ、薬物と縁を切ることができるのです。

 専門家による指導や、やめ続けている仲間の支えなども有効です。入院治療を受けたり、回復者施設に入所するなど、これまでと違う環境を選ぶことも努力を確かなものにする近道でしょう。ASKAさんのように、保釈を得て専門医による治療のスタートを切ることもよい方法だと思います。

 しかし、何と言っても家族の支えが欠かせません。気がゆるんだり、嫌気がさしたりするときも、そばにいて、時には叱咤する家族の存在は、覚せい剤をやめる長い戦いを乗り越える最大の力なのです。