田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 「保育園落ちた日本死ね」という言葉が、今年のユーキャン新語・流行語大賞トップ10入りした。大賞の授賞式には、民進党の山尾志桜里議員が出てきて、この「保育園落ちた日本死ね」の受賞者としてスピーチしたという。ネットを中心にして、この「保育園落ちた日本死ね」、特に「日本死ね」の表現をめぐって受賞の賛否両論が湧き上がった。「日本死ね」はヘイトスピーチであると批判する人や、他方でそれは「日本の内部」への批判だから無問題だとする人など多様だ。筆者の私見では、この「日本死ね」という表現自体に賛成しかねる。この手の過剰な表現で注目を集め、世間を扇動するのは最悪の政治的手法だと思っている。
「保育園落ちた日本死ね」などと国に不満をぶつけるインターネットの匿名ブログの一部(画面の広告部分をモザイク加工しています)
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 だが、注目したいのは、この言葉の受賞者として民進党の議員が出てきたことだ。率直な感想として、民進党の経済政策に任せれば、本当に日本に死亡フラグがたちかねない。その意味では、この人選は、選考委員や受賞者自身の意に反して皮肉極まるものかもしれない。

 なぜ民進党の経済政策は日本を「死亡」させかねないのだろうか?

 「どうあってもマクロ経済政策は増税のみ!」その力強いメッセージを感じる「民進党の経済政策」(次期衆院選挙の公約たたき台)の報道を読んだ。ちなみにマクロ経済政策とは、日本全体の経済を良くする政策の総称であり、具体的には財政政策、金融政策に分かれる。民進党では、この日本全体の経済状況を考える政策では、消費増税が最も強調されている。いや、事実上、消費増税のみであるといっていい。

 もちろんまだ「叩き台」だという反論はあるだろうが、民進党が民主党政権時代に何を具体的に行ってきたか、そして現在の民進党の蓮舫・野田体制になってからのことあるごとの発言から、その持っている経済政策観は明瞭である。

 「緊縮主義」、これ以外の表現を思いつくことが難しい。経済の大きさは一定のままで、増税を財源として再分配政策を実行する。もちろんまともなマクロ経済政策がなければ、経済の大きさは一定のわけもなく縮小するリスクに直面するだろう。その中でパイの分け前を実行するので、パイを切り分ける権力保有者(政治家、官僚)の政治力は増すかもしれないが、パイの取り合いをしなければいけない国民の分断化は嫌でも加速するだろう。これが緊縮主義の「理想と現実」である。