津田岳宏(弁護士)

 私はカジノ解禁に賛成であるが、専門家として捉えたとき、これの解禁について大きな法的問題点があることも確かだ。賭博罪との整合性である。現行刑法には、賭博罪及び賭博場開張図利罪が存在する(そして私は賭博罪を専門にしている弁護士である)。カジノの経営は、賭博場開張図利罪に該当する行為である。よって、これを解禁するためには特別法を制定する必要がある。

 この点、現在の日本では賭博罪が存在する一方で、全ての賭博が禁じられているわけではない。公営競技である競馬や競輪は、賭博ではあるが特別法により違法性阻却がされている。
 とすれば、カジノにおいても同様に特別法をつくればすむのではとも思えるが、ことはそう簡単ではない。特別法によって文字どおり「特別」な扱いをするにはこれを正当化する根拠が必要である。

 判例は、競馬法による賭博の解禁の正当性について以下のように論じる。

「個人のする賭博ないし賭博場開張図利は、これを一般大衆の恣意に放任するにおいては、一般国民の射幸心ないし遊惰を醸成もしくは助長させるおそれがあり、ために善良の風俗に反し公共の福祉を害するからこれを禁止すべきものとするも、公共機関の厳重、公正な規制のもとにおける射幸心の発露は害悪を比較的些少にとどめ得るから、これを許して犯罪とみないということも複雑多岐の社会生活を規制するうえからは、むしろ賢明な措置として是認されるべきであると言わねばならない」(昭和40年4月6日東京高等裁判所)

 一部にのみ賭博を解禁する特別法は、憲法に定められた平等原則の例外になるため、競馬法や自転車競技法はその合憲性が裁判で争われた例が複数ある。もっとも判例は、競馬や競輪が「公営」である点を根拠として、この不平等な扱いには合理性があると判断し続けてきた。

 しかし、カジノについてはここで問題が生じる。カジノによる経済効果を最大限に発揮するには、これを公営にすべきではないのだ。

 シンガポールでカジノが大成功した理由のひとつには、民間から投資を募り公の負担なしに巨大な開発を実現した点がある。同国では、カジノ設営にあたり民間各社を集め入札を実施し、もっとも優れた条件を提示した会社にライセンスを付与した。