鳥畑与一(静岡大学教授)


 衆院内閣委員会でわずか6時間の審議で「カジノ推進法」が可決された。国会会期内での成立を目指して6日には衆院本会議で可決される予定だという。良識の府である参院でのまっとうな議論を期待して「カジノ推進法」の質疑に対する疑問を述べたい。本稿では、「統合型リゾート(IR)」の収益エンジンとして組み込まれたカジノをIR型カジノと呼ぶ。
衆院内閣委員会で可決されたカジノ法案=12月2日
衆院内閣委員会で可決されたカジノ法案=12月2日

国際観光業推進にIR型カジノは必要か

 推進派は、国際観光業の発展にIR型カジノは欠かせないと言う。シンガポールでIR型カジノオープンを機に大きく外国人観光客が増大し観光収入も大きく伸びたことで、IR型カジノの絶大なる観光効果は証明済みだと言う。

 確かにリーマンショック等の影響で外国観光客を減少させたシンガポールは、2010年のIR型カジノのオープン効果もあって外国観光客等が大きく伸びた。しかし2013年以降はIR型カジノの不振と相まって外国人観光客等は停滞している。カジノ頼りの観光政策の脆さを早くも露呈させているのではないだろうか。
 一方で日本とシンガポールのボトム期から2015年までを比較すれば、日本の外国観光客の増加とその支出額は、シンガポールの実績をはるかに凌駕している(表1)。円安効果もあるが日本の文化と自然の魅力がビザ緩和等と相まって大きな競争力を発揮している。シンガポールこそ日本に学べと言うべき実績であり、東京オリンピックまでに外国観光客2000万人達成のためにIR型カジノが必要だという論理はすでに破綻済みなのである。そこで東京オリンピックまでに4000万人と目標を倍増させ、そのためにIR型カジノが必要だと論理の衣替えを行っているが、あまりにも恣意的ではないだろうか。