木曽崇(国際カジノ研究所所長)

 12月2日、衆院内閣委員会において、我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入を推進するIR推進法案(通称:カジノ法案)が採択された。12月6日の衆院本会議で与党・自民党や日本維新の会など可決し、同日中に参院に送付した。14日に閉会となる今期国会中の成立を狙っている。

 そこで期待されている最大の政策効果は統合型リゾート導入に伴って発生する経済効果であるが、この点に関して反対派からは「ギャンブルはただ右から左に金を移すだけ。そこで何も生産しない」などという反論がしばしば聞かれる。
 しかし、そもそもカジノはアミューズメントとホスピタリティを提供するサービス産業であり、そこに「目に見る形の財」の生産がないのは当たり前のことである。逆にいえば「客にゲームを提供する」という目には見えない「役務」を生産している産業であるワケで、それを「何も生産しない」と断ずるのなら、おおよそ世の中のサービス産業は同じく何も生産をしない産業となってしまう。

…と、そもそもカジノ反対派の唱える「ギャンブルはただ右から左に金を移すだけ」という主張に対して推進派は異論があるワケだが、一方で思想信条的にそもそもギャンブルを害悪なものとして見なしている一部の人達にとっては「カジノはアミューズメントとホスピタリティを提供するサービス産業」という我々の主張自体が理解されるわけもなく、この種の論議はこのまま平行線となるのが常である。

 そこで本稿においては、あえてカジノ反対論者の唱える「ギャンブルは右から左に金を移すだけ」という主張に乗った上で、「それでも、なおカジノには期待される経済効果があるのだ」という反論をしてみたいと思う。

 現在、国会審議中のIR推進法案は、日本で実現すべきカジノの姿を以下のように規定している。

IR推進法 第二条第一項

この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。