田中紀子(ギャンブル依存症を考える会代表)

 IR法案が審議入りし、衆議院を通過するであろうことから、にわかに「ギャンブル依存症」が大々的に取り上げられることとなりました。

 一般社会の皆様も、突然のことでこれまでギャンブル依存症の事など、気にしたこともなかった・・・という方々も、否応なく耳にし、初めてこの問題について考える羽目になった、という方もいらっしゃるかと思い、今日から、日本のギャンブル依存症問題について書いていきたいと思います。

 まず、現在ツイッターなどで、よくみかけるのは、「カジノを作って、依存症対策をやるなんてマッチポンプだ!」というご意見です。一般の皆様方がそう思われるのは、無理もなく有難いことですが、実は、それが世界のスタンダードです。

 例えば、こちらの資料にある、カナダの場合を見て頂いてもお分かり頂ける通り、州ごとに売り上げの何パーセントかを、チャリティー費、ギャンブル依存症対策費、リスポンシブルゲーミング費に振り分けると書いてあります。

 簡単な粗訳をUPしておきますが、
リスポンシブルゲーミング費というのは、この資料の見解では、「地域社会やギャンブルの供給者、政府等がギャンブルに関連するリスクを生み出す責任を共有し、ギャンブル依存症を予防または最小限に抑える環境を作り出し、促進し、ギャンブルに関する地域社会の懸念に対応するもの。」とあります。

 それにしてもすごい金額ですよね。単位はカナダドルですから、為替の変動があるとしても現在の1カナダドル=およそ85円で計算すると、カナダ全体でおよそ70億円位、依存症対策費を拠出しているってことになりますよね。

 その他に、リスポンシブルゲーミング費が出されていて、合計するとおよそ97億! おまけにカナダの人口は、大体3516万人と日本の2/7ですよ! これだけやれば、カナダの依存症罹患率はかなり低いだろう・・・と調べたところ、案の定、カナダのギャンブル依存症罹患率は、2016年度に出されたMGMリゾーツ・インターナショナルの調べでは、0.8%とのことでした。日本のギャンブル依存症罹患率4.8% 推定罹患者536万人とは大違いですね。

 しかもこのカナダの仕組みを見るとですよ、チャリティ費よりむしろギャンブル依存症対策費が多く割かれていますよね。それに対し日本の公営ギャンブルって、売り上げの一部を福祉費にはまわすけど、このギャンブル依存症対策費、リスポンシブルゲーミング費には、まわされていないんですからね。変だと思いませんか?