佐々木信夫(中央大学大学院教授)

 アメリカの次期大統領に決まったドナルド・トランプ。このトランプをめぐって、未だトランプ旋風は鳴りやまない。政界はもとより、一般国民の驚きぶりも尋常ではない。それに翻弄されているフシもある。都政に影響はないのか、否、都知事の小池百合子氏がトランプ化するのではないか、との噂もある。すると、再び小池劇場が沸くのではないか。
当選が決まり、勝利宣言するドナルド・トランプ氏=11月9日、ニューヨーク(AP)
当選が決まり、勝利宣言するドナルド・トランプ氏=11月9日、ニューヨーク(AP)
 トランプが当選したのは日本人にとっては、まさに想定外の感じだったが、しかし、早くからトランプ当選を確信犯のように訴えていた人物がいる。橋下徹・前大阪市長だ。氏は、昨年12月の市長退任後、全国で連日のように講演活動を続けているが、筆者が聞いた講演で何度も、「皆さんはそう思わないかも知れないが、次期大統領はトランプです!」と言い切っていた。

 意外な見方に、会場はどっと沸いていた。いまとなれば、氏の直観力に脱帽せざるを得ないが、当時は極めてマイナーな見方だと思っていた。しかし、事実は小説より奇なり、トランプが選ばれた。橋下氏は「改革者の自分とトランプ」を重ね合わせているようにも見えた。自ら破壊的改革者だと言ってはばからない橋下氏、彼は本心から直感的にトランプ当選と思っていたのではないか。

 昨年11月の大阪の府知事、大阪市長のダブル選の風景。橋下氏は大阪維新の改革後継を残したい一心で、5月17日に大阪都構想の住民投票で負けた大阪市域の南部に何度も足を運んでいた。低所得層が沈殿し維新勢力の弱い南部だが、自らの8年間の改革意義と実績を説き、節約した分を教育に回した結果、大阪の学力は急速に向上した、と。自分の破壊改革の後には創造がくる、その創造改革の担い手を松井一郎府知事と次期市長候補・吉村洋文氏に託したいと切々と訴えていた。

 こうした身を切る改革、税金を無駄にしない“橋下改革”は大阪市民の圧倒的支持を得、ダブル選で大勝。この勢いは現在、大阪副首都構想、2025大阪万博へ向け、大阪大改革の政治的エネルギーとして脈々と生きている。ニュー大阪都構想は再来年、もう一度住民投票で問われるようだ。