田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 SMAPは楽しく感動的で、また時に波瀾万丈でもあり、そしてなにより平成という時代をともに生きてきたという実感がもてるただ一つといっていいアイドルだ。そのSMAPの5人が揃う姿をみることが、まもなくなくなってしまう。
東京新聞に掲載されたSMAPのデビュー25周年を祝うメッセージ=9月9日、東京都港区
東京新聞に掲載されたSMAPのデビュー25周年を祝うメッセージ=9月9日、東京都港区
 実際には、『SMAP×SMAP』の収録が終わったことで、我々が見ることのできるのは、少し前の5人の姿でしかない。5人そろったSMAPの姿を、もうライブやテレビの生番組で見ることができないのだ。もちろん紅白歌合戦への電撃的な出場があるかもしれない。だが、その可能性は絶望的とも報じられてもいる。

 どんな形でもいいので、彼らの「今」の姿、5人そろった現在を一目でも見たいというのは、多くの国民の願いではないだろうか。

 できれば5人がお互いに笑顔を交わし合う姿が一瞬でもあれば、それは本当に幸福なエンディングではないか。もちろん終わりであってほしくはない、再び結集してほしい、いまでも解散を撤回してほしい、というのは筆者を含めた圧倒的多数のSMAPファンの偽りなき心境だろう。

 最近では、SMAPがアイドル市場から喪失することの経済効果を聞かれることが多い。経済学者なのでこのマスコミの依頼に答えることは義務だと思っているので数字をあげている。ただそのときでも、数字では表せないファンの感情を考慮することが重要だと指摘している。実際にSMAPが喪失することによる心理的な負担は、人によりけりではあっても、かなりのものになると思っている。それだけSMAPは平成に生きる人たちの、個々の人生の中にしっかりと根を張った「物語」だった。

 ひとまずSMAPの経済効果を考えてみる。年間でどのくらいの金額を稼ぎ出しているのか、簡単に推計してみよう。売り上げは、ライブの収入、グッズの販売料、ファンクラブの会費、CDやDVDの販売料、テレビやCMなどの出演料、に大別されるだろう。これらの数字をすべてまとめると、SMAPは潜在的に年間約211億円を稼ぎ出すことができるグループだと思われる。

 では、SMAPが喪失することでこの211億円の支出がすべて消えてしまうのだろうか。211億円(一説には600億円という数字もある)がSMAP喪失の経済的損失なのだろうか。答えはノーである。確かにSMAPへの支出は211億円から急激に減少するかもしれない。もちろん彼らが解散した後も、その関連商品は売れ続けるかもしれない。そのため、解散後もSMAPへの支出がゼロになることはありえない。

 またSMAP解散を悲しむ人たちや、それをなんとか止めたいと願っている人たちが、SMAPの過去のCDやまたベスト盤などを購入することで売り上げを伸ばす分野も出てきている。確かに最近のオリコンチャートをみると、彼らの過去の楽曲が常時上位に名前を連ねている。